私はイギリス人の夫と国際結婚をして、イギリスへ移住する予定である。
日本の生きづらさについて考えてみる、とは言ってもよくネット上で見かけるような同調圧力や働き方などについて言うつもりはない。
日本を離れる理由
これは、単純にビザの問題である。相手が日本人ではなく、お互いに違う国で生活していたから、一緒に住むには少なくともどちらかが移住する必要があった。夫と結婚をしたのは、一緒に生きていくにはビザが必要であったからだ。結婚をしてもしなくてもいいと、別に結婚に対するこだわりはなかった。
もともと結婚願望もなかったし、ビザの問題がなければ、結婚をしなくてもパートナーとして生きていけばいいだけのことであったが、同じ国で生活するにはビザが必要だ。配偶者ビザ以外のビザの取得は、日本であれイギリスであれ私たちにとって実現性が低かったので、選択肢に入らなかった。
イギリスでの生活を選んだのは、私と夫の経済力・語学力を考えれば、日本よりもイギリスの方が安全だろうと考えたからである。
夫は日本に興味はあるが日本語は勉強中でほとんど話せない。しかし、イギリスで定職についており、住む家もある。私は日本で正社員として働く気もなく安定とは程遠いが、ビザを申請できる位の英語力はあり、やろうと思えば美容の仕事は個人で海外でもできる。
…というわけで、イギリスで二人で生きていくことに決めた。
国際遠距離恋愛をしている人は、程度の差はあれどビザの問題は避けられないように思う。既に相手国の永住権を持っているのであれば問題にはならないかもしれないが、それはかなり少数派であろう。
海外移住をすると言えば話題になる、日本の生きづらさについてどう思うか
私が日本を離れることにさほど抵抗がないのは、日本での生きづらさを感じていて、一度は海外で生活してみたいと思っていたからだ。そもそも海外で暮らしてみたいと思ったのも、英語の勉強を始めたのも、この日本での生きづらさを何とかしたいと考えた結果だ。
私は日本での生きづらさを、最初はよく言われるような同調圧力や日本のクレイジーな働き方のせいだろうと思っていた。日本で暮らすのは息苦しいから海外へ行きたい、と考えている人は少なくないのではないかと思うが、そういった方も働き方や同調圧力が嫌な理由として挙げられるのではないだろうか。
でもシンプルに言えば、生きづらさの原因は、自由がないことだ。自由がないというのは、精神的な面もそうだが、単純に時間やお金などの資源がないことでもある。
イギリス人の夫と結婚し、私がイギリスへ移住することになったのも、単純に言えば私に夫と私が日本で生きていけるだけの経済力がなかったからだ。
私は美容の仕事を十数年してきた。自分一人であれば何とかやっていけるが、夫の配偶者ビザ申請が通るほどの経済力は、遠距離恋愛を続けるために手放してしまった(条件的には正社員で働いていて、年収300~400万以上くらいだったと思う。確か勤続年数も考慮されると思う)。仮に正社員で働き続けていたとしても、今後のことを考えると私にその条件は維持できないだろうと思った。
なぜなら日本で正社員で働き続けることは、私にとって死にたくなるほど辛いからだ。個人事業主としてやっていくにしても、インボイス制度などを考慮しても、どんどん弱者にとっては厳しい状況になるだろうと考えた。日本は弱者に優しくない。自己責任といわれて済まされてしまう。
夫は日本に一度は住んでみたいとは思うけれど、一緒に生きていくなら今の時点ではイギリスがいいと言ったが、私は日本がいいとは言えなかった。
上記のような経済的な理由ももちろん大きいが、精神的な自由の面でも日本がいいとは言えない。特に私の親との関係を考えると、出来るだけ距離を置きたいからだ。子供のころから学校は嫌いだったし、周りに合わせるのも嫌だし、親からの虐待に今も心は傷ついたままで処理しきれていない。
私は社会人になってから、自分の状況、考え方や働き方を変えなければ、息苦しくて辛くて生きていけないと思ったから、この生きづらさの原因が何なのかを知ろうと学び続け、どう変えたらいいのかを考えて行動してきた。少しずつ自分らしく生きられるようになってはきているが、それでも日本は私にとって生きづらい。
経済的にも、精神的にもかなり自由が制限されるからだ。
傷つけられて育った大人が、今もこのシステムを維持し続けている
自分ではどうにもできないこともある、と考えている。
それは私はまずは自分が思うこと、考えていることはどこからきているのかを考えたことから辿りついた。日本で生きるのが辛い・生きにくいのは、自分の育った環境…特に親からの影響と、日本で受けてきた教育の影響が大きい。
日本人の多くは無宗教であると言われているが、誰かが本に「日本教」と表現していたような、日本人特有の何かがあるように私も感じていた。また、日本人が元々持っていた考え方や価値観、社会のシステムに、西洋のものが上乗せされた、その歪みのようなものの影響はあるだろうと思った。
日本の敗戦後に影響を受けてきた、西洋で生まれた社会のシステムや思想を理解しなければ、生きづらさの原因とその対処法は分からないのではないか?そう考え、西洋の思想を理解するには英語が使えるようになった方がいいだろう、言葉には文化が埋め込まれていると考えたことから、英語の習得に本気で取り組むようになった。
確かに理解は深まったが、それでもまだ足りない。そもそも日本や日本人について知らないことが多いことに気が付いたからだ。では、日本が抱える問題は何で、それが自分にどう影響を与えているのか?
…と、分からないこと・知らないことが多すぎて、もっと学び考える時間が必要であることは明らかであり、まだ途中だ。でも言えることは、日本は弱者に優しくないし、大人が狂っていることを自覚して教育から変えていかないと、どうにもならないと思う。
傷ついて育った大人が、自分たちが傷つけられたシステムを辛い・苦しいと思いながら維持し続けているという恐ろしい状況だから、日本で生きていくのに希望が持てない。
学んで考え実践してみるというのを繰り返し、自分の生き方を変えていった結果、イギリスへ移住することになったが、 最近は、日本を離れたからといって、私が感じる生きづらさがなくなるわけではないだろうなと思うようになった。今感じている生きづらさは、世界共通のものもあると思うからだ。
日本の生きづらさ無くしていく為に読んだ本の中で、特にお勧めのものを紹介しておく
私が大いに影響を受けたのは、安冨歩さんの著書「生きる技法」である。彼女の著書に出会ったのは2年ほど前になるが、それから私の考え方が大きく変わった。
7月の参院選に出馬したことから、安冨さんの著書が品切れになっていることが多い。いろんな人が彼女の著作を読んでいい影響を受けるならそれは素晴らしいことだと思う。
上述の「生きる技法」と共に、「あなたが生きづらいのは『自己嫌悪』のせいである」は自分の生きづらさの原因に近づける。どう生きていけば生きづらさがなくなっていくかも解説してくれている。難しい言葉は使われておらず読みやすいので、読書の習慣が無かったり、難しい本は読みたくない人でも問題なく読み切れると思うので、お勧めだ。
この世界の生きづらさ
日本を離れ海外で暮らせば、確かに日本特有の同調圧力などからは解放されるであろうが、そもそも自分が感じる生きづらさの原因が自分自身の考え方や、思い込みだけでなく、今の社会システムにあるかもしれない。
資本主義・民主主義がうまく機能しなくなってきているのは、多くの人か気づいているだろう。弱者の不満が限界にきているのかもしれない。もし生きづらさの原因が今の世界のシステムからきているのであれば、自分の考え方のようには変えられない。それなりに付き合ってく必要がある。
この場合の生きづらさを無くしていくのは、きっと一筋縄ではいかない。せめて自分の母国が国民を守ってくれれば、どれだけいいか。そうはなっていないから怖いのだ。
イギリスへ行くのにもEU圏外の外国人は、例えイギリス人の配偶者であったとしても、弱い立場だ。ビザ取得の困難さを考えればわかる。
残念ながら日本にいても、私は守られない弱者だ。私にとって、この世界は生きづらい。それでも生きていくから、せめて愛するパートナーと生きていきたいと思う。
