コロナウイルスの影響と女性の貧困 

コロナウイルスの影響と女性の貧困 

最近は、今後のことを考える時間が増えた。

コロナウイルスの影響でどうなっていくかと、ネットで検索してみればいろいろな予想が出てくるが、結局気になるのは自分の実生活がどうなるかということなので、あまり参考にはならなかったりする。自分で向き合い、考える必要がある。

そんな中でも気になってしまうのは、コロナウイルスの影響で女性の貧困が問題になっていることだ。

非正規雇用であったり、コロナウイルスで大きな打撃を受けているサービス業などに従事している人は、男性よりも女性に多い。失業してしまう人もいれば、休業補償が受けられずに収入が途絶えてしまう人もいるようで、既に生活に困っている人・これから生活に困る人は少なくないだろう。

雇用調整助成金の申請を企業側がやってくれない場合は従業員に休業補償が出なかったり、生活に困っていても役所の水際対策で生活保護の申請が出来なかったりで、十分な収入がないまま何の補償も受けられない人がいるのは、簡単に想像できる。こういったことはニュースにもなっているし、自分が日本で長いことサービス業に従事していたので、大体の状況は推測できるが、当事者は本当に辛いだろう。

こういった緊急時に対応できるように貯金はしておくべき、今まで何もしてこなかったのだから自分が悪いのだと、自己責任で済まそうとする声も多く聞く。

しかし、日本は貧困から抜け出すのは困難なシステムでできているので、これを自己責任にするとしたら、本当に残酷だと思う。

美容師として過ごした約7年間、私は紛れもなくワーキングプアだった。長時間働いても簡単には報われず、低料金化の流れもあって利益を出すのが年々難しくなっていくし、自由が欲しいと独立してもオーバーストアの状態で事業の継続は難しいだろうと絶望していた。

それでも何とか生活を変えようと転職し、ラッキーなことにまつげエクステの先行者利益に与れたので、美容師よりは恵まれた労働環境で収入を得つつ、読書と副業に励んだ。通信ではあるが大学でも学んだ。

自分が弱者であることを理解すること、そして自分が生きるこの社会の仕組みやルールを知らないと損をするだけでなく、徹底的に搾取されてしまうことに気が付いたからだ。そういったことに気が付いたときは更に絶望したが、知らなければ変化を起こすことはできなかったと思う。

そういったことに気が付けたのは、父が読書家で私も読書をする習慣があり、高校は特に意識せずとも一応は進学校と言える学校に通い、そういった家庭で生まれ育ったことと、高校からの親友がいわゆる「勝ち組」であったために、別の視点が持てたからだったのだと思う。高校生の時に鬱状態にならず、高校卒業後に引きこもりになっていなかったら大学へ行っていただろうから、もしかしたら美容師として働きワーキングプアにはなっていなかったかもしれない。

どんな環境で生まれ育ったかというのは、その人の人生に大きな影響を与えている。当然のように学歴差別があるし、そして残念なことに日本で生まれたならば性別によってもかなり差別される。

学歴差別があるのに、女性には学歴は要らないといった空気の中で育てば、学ぶ機会が奪われ生涯賃金も減る。また、仕事を頑張っても結婚や子供によってキャリアを諦めざるおえない可能性は、男性よりも女性の方が高い。

こういった面では、女性として生まれたというだけで不利になる。…かといって独身を貫こうとしても、一生働いて自力で生きていける人はそんなに多くないだろう。女性が独身の場合、男性よりずっと貧困に陥りやすい社会だと思う。

非正規雇用であったり、サービス業で働いていたり、コロナウイルスのようなこういった非常時に貯金が無くて生活に困っている女性が多いのは、彼女たちの責任ではない。貧困や差別を放置してきた社会に問題があるのだ。

こういった非常時にこそ、貧困の問題が目につきやすくなる。この機会に改善していければいいなとは思うけれど、正直言ってそう簡単には変わらないだろうな、とも思う。このまま学歴差別・性別による差別が続き、既得権益が支配する日本が変わらなければ、自分の未来は明るくないだろうと思ったから、私は英語を学んで他の国でも生きていけるようにした。日本は簡単には変わらないだろうと考えたからだ。

日本政府のコロナウイルスへの感染症対策や経済対策をみていると、やはり簡単には変わらないだろうなと思う。既得権益側の人間は自分たちだけが良ければよく、国民の為に働いたりなんかしない。

私はイギリス人の夫と出会い、今はイギリスで不自由なく暮らしているが、ただ運が良かっただけだ。日本で美容業の個人事業主を続けていたら、私がその貧困女性の一員だった。貧困女性のニュースなどを見ると胸が痛むのは、自分ではどうすることも出来ない生まれ育った環境などが原因で貧困に陥り、そこから這い上がることは難しい状態であることが、よく分かるからなのだろう。

私は貧困から這い上がるために仕事以外の時間を学ぶことや副業に使い、毎日のように本を読み漁るという生活を10年以上続けて、今の状態になった。しかし、貧困で苦しむ人たちはこうなる前に、貧困から這い上がるためにもっと勉強するべきだった、働くべきだったなどとは思えない。確かに私は時間もお金も貧困から這い上がるために使ってきたが、それでも運が良くなければ貧困のままだったと思うからだ。

だから、貧困に苦しむ人たちの自己責任だなどとは考えられない。日本の学歴差別や性差別、既得権益ばかりが優遇されるシステムに問題があるのだ。そこを変えなければ、女性が貧困に陥りやすい社会を改善することは難しい。

本当に、生きづらい世界だと思う。これは日本に限らず、そう思う。

世界では、コロナウイルスによる死亡者は貧困層に多い傾向がある。私がいま暮らしているイギリスもそうだ。日本に限らず、貧困から這い上がるのが難しいシステムは各国に存在するのだろう。

今は何とか生活に困っていなくても、このコロナウイルスの影響で自分たちが貧困に陥る可能性だってある。いくら社会に問題があると言っても、生き延びるためには結局、自分たちで何とかせねばならない。

そう考えると、これからは「社会に何とかしてもらおう」ではなくて「助け合える家族や友人を持とう」の方が生きやすい、生き延びやすいのだろうなと思う。

貧困から這い上がろうと頑張っていた頃は、社会が悪いとか、とにかく自分に力を付けなくては…といった考え方で生きてきたけれど、最近はその生き方に限界を感じてきた。

自分の周りに「助けて」と言える友人がいるか、助け合える友人がいるかが重要なのではないかと思う。貧困で苦しんでいる人は孤独である場合が多い。助けを求めらる人がいないから、貧困に陥るのだろう。

こんなシンプルで効果的なことに気が付かなかったのだから、私は本当におバカだったなと思う。引きこもりである私が、苦手な分野だからかもしれない。

自分の人間性を磨く必要があるか…。今までのように読書するだけとか、自分が学ぶだけで何とかなるものではないだろうが、そういった友人が増えれば人生はもっと豊かなものになるだろう。

コロナウイルスの貧困から話がズレてしまったかな?とにかく、今すぐにできる事でもないだろうが、まずは自分にできる事からやっていこう。