先日、YouTubeを見ながら休憩のフリをした暇つぶしをしていた時、国際結婚・海外移住してユーチューバーをやっている、とある女性の動画がお勧めに出てきた。
そういえば以前に見たことがあった人気のユーチューバーだと思いつつ、自分語りをする最新の動画を見てみたところ、その女性の病みっぷりに少し驚いた。
その人の事情はよく知らないし、これは私の勘違いかもしれないが、まだ物心もついていない幼児の子供たちをYouTubeに出演させていると、自分が病んでもおかしくないよなと思う。その人は、真面目そうな方だと思うので、尚更だ。
なぜ病んでくるのか。それは恐らく、言い方は悪いが「子供をお金を稼ぐ道具」として使ってしまったようなものだから、ではないだろうか。
YouTubeで稼ぐということは、広告収入を得るということである。広告収入を増やすには、当然だが再生回数を増やさなければならない。手っ取り早く再生回数を稼ぐには、「国際結婚・海外移住した、ただの自分」を曝すより、「ハーフで可愛い幼い子供との生活」の方が見られる可能性が圧倒的に高い。
同じように国際結婚をして海外移住している私にしたら、それに手を出してしまう気持ちも分からなくはない。日本を離れて自分の居場所を作る、収入源を得るなど、いくら自分で選んだ道ではあっても、日本で働くよりもずっとハードルは高いのだから。
しかし、私を含めてそれをやらない人の方が圧倒的に多い。何故か。
「子供をYouTubeに出すこと」の危険性や将来への影響を考えると、「出来ない」からである。子供を守る存在であるはずの親が、お金を稼ぐために子供を危険にさらす行為をするなど、どう考えても出来ないのである。
しかもこれは、海外で暮らす自分の能力不足や自分が抱える不安・焦り・劣等感などを、子供を使って何とかする、という行為でもある。
いや、自分で何とかしろよ、という話なのだ。子供を巻き込んでやることではないのである。
もし私が子供の立場で、成長していろんなことが分かるようになってきたら、「お金を稼ぐ道具として使われた」と思うだろう。私のお陰で稼げたんでしょ?と、親子としての対等な立場などは、きっと崩れ去る。
「日本にいる家族に子供の成長を見せたい」等とどんな言い訳をしようと、そういうことなのだ。別にYouTubeを通して動画を見せなくても動画はいくらでも送れるし、今はオンラインでいくらでも会話ができるのだから。
今の状況では働けないからYouTubeで広告収入を得ようと思ったのなら、子供を出さずに自分だけでやることも出来たはずである。でもそれをしなかったのは、自分だけではYouTubeで収益を上げられる可能性が低い、と分かっていたからではないだろうか。
それとも、そんなことにまでは全く考えが至らずにYouTubeを始めたのだろうか。YouTubeである程度の結果を出せる能力がある人なのに、そこまで考えられなかったとは思えない。
大人でさえ、ただの一般人である自分の顔を曝し、YouTubeで情報を発信するのは勇気が要る。国際結婚・海外移住した人の中には、自分の顔はほとんど出さず、夫や子供の姿は惜しげもなく曝している人がいることを考えても、自分の顔を出すハードルは高い。それは当たり前だろう。YouTubeというネット上の公の場で、どんな批判に曝されるか分からないのだから。
自分の能力不足や不安・焦り・劣等感などを払拭するために、YouTubeで稼ぐことに挑戦した…「子供を使って」。
自分がやってしまった事に罪悪感を抱き、子供との関係が今後どうなるか怯えながら生きるのは辛いだろう。
しかも、フォロワーを失わない為、再生回数を稼ぎ続けるために、どんなに辛くとも止めにくくなってしまう可能性が高い。数字を、お金を失うことが怖くて止められなくなってしまうのだ。
真面目な人なら尚更、この状態を続けることはできないのではないだろうか。病んでしまうのも当然だろう。でも、もうやってしまったものは今更変えられない。その自分を受け入れて、今からでも出来る限り子供を守ることに徹して生きていくしかないのだろう。自分で子供を巻き込んでおいて、今さら子供を守るなんて…と思ったとしても、それを抱えて生きていくしかないのだ。
これは勝手な私の想像だが、真面目な人が子供をYouTubeに出したことで病んでしまうとしたら、こんな感じではないだろうか。もう、あのような動画は痛々しくて見ていられなかった。
コメント欄はフォロワーの慰めに溢れていたが、そのフォロワーさんたちはYouTubeでお金稼ぎに使われている子供や、それに手を出してしまった女性の心配など全くしていない。安全な場所から彼らの姿を見て、無邪気に「子供可愛い」「理想の家族」「癒される」などと言えてしまう人たちなのだから。
私からしたら、この状況はホラーである。マジで怖すぎる。
子供を出演させても稼げない場合ももちろんあるので、YouTubeで稼げたのは単純に凄いことだと思う。でも、それを引き換えに失ったものは大きいはずで、決して無視できるものではないのだろう。
たとえ今の状況が苦しくても、手を出さないほうが良い事があるよな、と思ったのだった。
