今回はいつもよりちょっと大きなテーマになりますが、美容師と仕事について書いていきます。
私が美容師になった理由は、10代後半の見た目にコンプレックスだらけだった当時の私には美容の知識と技術が必要だったからということと、自立した女性になる為にいくつになっても働けるように手に職をつけたいと思ったからです。
「美容が好きだから。」これは私ももちろんそうです。
「他の人を綺麗にしたいから。誰かが綺麗になる手助けがしたい。」…は、正直言って周りの目を気にした表面だけの理由でした。
ちなみに、撮影や舞台メイクなどの華やかな場で仕事がしたい…なんて思ったことはありませんでした。
あくまでも美容師という仕事は、私にとっては生きていくため、自分の生活に必要なお金を稼ぐための手段。
手先は器用な方でしたし、なんとなく向いているような気がしたし、美容師なら自分一人食っていくことぐらいは出来るだろうと思ったからです。
ですが、実際にやってみるとブラックな業界のせいか、仕事がキツイ。いろんな意味で。
キツイから「好きじゃないと出来ないよね」とよく言われます。
確かに、労働条件も悪いから好きじゃないと出来ない。
でも、逆に好きでも出来ないんですよね。
私の場合、知れば知るほど、経験を積めば積むほど、「髪を傷ませたくない」「美しいことは、それ以前に健康的である事」へのこだわりみたいなものが出てきてしまって、髪を傷ませる施術をするのが嫌になってしまいました。
どうするかはお客さんが決めることであり、私の価値観を押し付ける物ではないのは十分理解しているつもりです。
でも、傷んで汚くなった髪を見るのは嫌だし、そんな状態にしてしまうことがもったいないように思ってしまうのです。
なぜ、髪を傷ませてまでパーマをかけたいのか、カラーがしたいのか…。
それは、今の時代のテレビや雑誌、ネットなどの情報によって作られた可愛さ・美しさを得るには、それが必要だからだと思います。
その作られた可愛さ・美しさを得るためにはお金がかかるわけです。
それを作り出しているのは、そう仕向けているのは誰なのでしょうね。
いろんな種類のパーマ・カラー、それに使用する処理剤、トリートメント。
これらをやって・使ってもらわなければ、美容院は、美容業界は儲からないわけです。
お金を稼ぐ為にはある程度は仕方のないことですし、これは美容の良い所も含めたいろんな見方がある中での1つの見方にすぎないのは分かっているのですが、それを考えると、好きだからこそ美容師の仕事を続けられなくなってしまったのです。
私は貧乏は嫌なので、自分の望む収入は得たいです。
どこかに雇われて美容師の仕事をして私の望む収入を得るには、お客さんに多くのお金をかけてもらえるパーマやカラー、それに使用する処理剤、トリートメントをやってもらわないと売上を上げて望む利益を出すのは難しい。
現場を離れて、管理職というのも私の求める物とはちょっと違う。
かといって、ある程度は自分の好きにできる自分のお店を持つリスクと、それによって時間・金銭面で生じる自由・不自由を考えると、自分のお店を持つという選択もしたくない。
そういった理由から、美容師の仕事では私の望む状態にはなれないと思ったので、今は美容師の仕事は趣味程度にしかやっていません。
利益を追求しているわけではないので、心から楽しめます。
ただよく感じることは、自分には何が必要で、何が似合って、どんな自分にしたいのか考えて、自分で選んで決めている人は相当少ないということ。
考えているようで、考えていないと言ったらいいのでしょうか。
作られた可愛さ・美しさを求める事に、何の疑問も持たないのが普通のようです。
話が少しそれてしまいましたが、私の場合は以上のような理由から、好きだからこそ美容師の仕事が出来なくなりました。
仕事のやりがいだとか、好きなことを仕事にしたいとか、仕事に関してはいろんな考え方があるとは思います。
私も、また自分に新たな考え方が出来るようになって、何かが変わったら美容師の「仕事」が出来るかもしれません。