先日、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイートが話題を呼んだ。
日本政府の遅くて中途半端なコロナ対応と安倍政権による度重なる改竄や隠ぺい等を見てきて、もうこれ以上は我慢できない、このまま放っておいてはいけないと思い、ツイートした人も多かったのではないかと思う。コロナでこんなに大変なのに何してるんだよ、といったところだろう。この検察庁改正法案だけで、ここまでの動きが出たのではない。
このツイートによって、日本で三権分立が機能しなくなるとか、政治家が検察を思い通りに使えてしまうとか、いろんな声が上がった。法律に関して全員が詳しいわけではないし、人によってどの程度の幅や深さで問題を認識しているかは違う中で、どういった方向から見たものでも「もっと勉強しろ」といったようなツイートをよく見かけた。
Twitter上のやり取りだけでなく、雑誌や新聞の記事、YouTubeでの解説動画も多く見かけるし、専門家も専門家ではない人もいろんな視点で見ているので、この検察庁法改正案によって何が問題なのかは、知ろうと思えばいくらでも情報収集は可能だ。それだけ、いろんなことが絡み合っており、単純な問題ではないのだろう。
そんな中で「もっと勉強しろ」といった意見は、もっともであるようにも感じるが、自分一方の意見から見て勉強しろと言ってのけるのは、愚かである気もする。みんな少なからず知らないことはあるし、持っている視点もみんな違う。
また、勉強しろというだけでなく「論破」が好きな人もいるようだが、この世界は知れば知るほど複雑で、何でもかんでも論理で片づけられるわけではない。人間は単純な面もあるが、複雑だ。だから社会は今でもいろんな問題を抱えている。
誰かを徹底的に論破しようとしたり、もっと勉強しろと突き放し、自分の方が知っている、理解していると優越感に浸る人は視野が狭く、話も噛み合わないことが多いので、関わらない方が良いだろう。Twitterを見ているといろんな人がいて面白い反面、偏屈で攻撃的で現実ではさぞかし不幸に生きているんだろうなと感じてしまうほど、病んでいる人を見かける。
匿名で好きなことが言えることもあり、日本で生きる人たちの本音をあぶりだしているんだろうな、と思ってみている。みんな苦しんでいるのだろう。
さて、この検察庁法改正案については私も一応反対の立場であるが、正直に言ってこの件だけ反対しても意味はないと考えている。この法案が通っても通らなくても、既に日本で三権分立は機能していないと思っているからだ。
日本について知ろうといろんな本を読んできたが、その中で田中角栄のロッキード事件に触れている本は少なくなかった。それだけおかしな事件だったからだろう。日本の近現代を知るためには避けて通れなかった。
その田中角栄のロッキード事件や、最近のことで言えば民主党政権時の小沢一郎の強制起訴、厚生労働省の村木厚子の冤罪など、検察には強大な権力があることが分かり、そもそも日本には三権分立など機能していないと思えるような事件は多い。そういった事を少しでも知っているのであれば、今さらこの検察庁法改正案がどうなったところで、大して変わらないと思う人も少なくないのではないだろうか。
権力の力は強大で危険であるから、権力を持つのが1か所では危険、2か所でも危険なので最低3か所には分けるべきで、分散すればするほど良いといった考えも含んで「三権分立」なので、日本の状態を思えば今さら何を騒いでももう遅いと思う。
問題はこれじゃないだろ、と思う。
それだけ、日本の権力者に有利なシステムで長い事日本は動いているので、彼らを滅ぼさないと日本を変えるのは難しいのではないだろうか。
コロナウイルス後の世界は大きく変わる!変わらなければ!といった声は日本人からも出ているが、日本の権力者は必死に元に戻ろうとする気がする。今までのシステムが自分たちに有利で快適なのだから、変えたくないし、多分変えられないし、彼らはきっと変わらない。
だから、彼らが変わらないことを前提に、日本に絶望しつつもどう生き抜くかを考えた方が建設的な気がする。
今は自分に知識がなかったとしても、自分がおかしいと思ったこと、感じたことは発信した方が良いと思う。自分も声に出すことで、自分で調べて考えるきっかけにもなるからだ。
日本の近現代の歴史や社会についてよく知らなかったとしても、今の日本がおかしいとか、今の政治がおかしいとか少しでも感じるのであれば、自分の感覚を信じて自分で調べた方が良いだろう。別の視点も手に入るはずだし、世界が広がるはずだ。
そうやって、自分たちが生きる日本で何が起こっているのかを知り、今後のことを真剣に考える大人が増えない限り、日本を変えることは難しいだろう。今のままを続けていき、いつか変化があることを期待して待つのであれば、今権力を握っている人たちや思考しない大人たちが死ぬまで待つしかない。
そうしている間にも犠牲になってしまうのは結局、次世代を担う子供たちだ。日本の高齢者優先の社会では、子供たちを守るのは難しくなっている。
権力を持った人間が好き勝手にできる状態は、ずっと前から日本にあった。この状態に、今まで日本の有権者たちが向き合ってこなかったことに問題がある。
今の日本の政治がおかしいと感じるのであれば、日本の歴史や社会を知ろうと自分で学び、考える大人が増えていけばいいと思う。だから、せっかく持った疑問や興味をくじくような「勉強しろ」といった声や、攻撃的に論破しようとする声を、私は好きではないのだ。自分たちだって無知なのだから。
今さら検察庁法改正案がどうとか騒いでも、もう遅いと思っている。既に日本で三権分立なんて機能していないと考えてはいるけど、今後どうなるかはしっかり見ていきたい。
さ、本でも読んで、今後のことを考えよう。もっと自分で考える力を付けて、今後も快適に生き延びるために。