経済活動としての美容師の仕事について思うこと

経済活動としての美容師の仕事について思うこと

私が美容師の仕事をしてきて美しいって何だろう?と考えたり、もっと技術の向上をしたい・知識を深めたいと思い勉強を続けていると、「美容の仕事は経済活動である」ということに向き合うことになりました。→参照 美容業界が利益を出すためのシステム

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経済活動としての美容師の仕事

経済活動であるからには、お客様の満足はもちろんですが、利益を出さなければ続けられない。

今の美容業界で、カットのみの専門店等ではなく、一般的な美容院で利益を出すにはカラーやパーマ、トリートメント等の薬を使った施術が必要になってくるでしょう。

また、シャンプーやトリートメント等の商品なども販売しますよね。

私は美容師の仕事を通して考え続け、現場で見続けた結果気が付いたことは、薬を使った施術は極力せずに髪を傷ませないことと、その人にあったスタイルで自然な美しさを引き出すことが、私にとっての「美しい」ということでした。(→美しい髪を手に入れるには

自分の髪もブリーチや縮毛矯正・パーマなどやりたい放題(散々痛めつけました。若いころは髪が薬剤で溶けるほど 笑)、肌が弱くアトピー・職業病の手荒れに悩まされ続け、身をもって知ったことが「自然に反することをするなら、程度の大小差はあれどリスクを伴う」ということ。

また、アトピーなどのアレルギー症状で問題になる事の1つに、「社会毒」というものがありますが、美容院で使用する薬剤や人によってはシャンプー・トリートメントなども「社会毒」ですから、美容院で仕事をしていたら常にそういったものにさらされることになります。

皮膚がボロボロになりつつも仕事を続けていましたが、美容師の仕事は私の求める「美しさ」とは違うことに悩みました。

綺麗になる・可愛くなる為にはカラーやパーマが必要、今はこういったスタイルが流行で、それを手に入れるためにはお金を払って手に入れる必要がある、と思わされている面もあるのではないでしょうか。

また、自分が感じるその綺麗・可愛いは、本当に「自分自身が心から」そう思うものなのでしょうか。

…多くの人はそうではないと思います。テレビや雑誌のイメージや植え付けられた知識にかなり影響を受けているでしょう。

そのテレビや雑誌にはスポンサーがついているので、なぜそれにいいイメージを自分が持っているのか、その情報は本物なのか真剣に考えてみましょう。そうしなければ騙されてカモられてしまいます。

美容院で使用する薬剤もいろんな種類のものが用意されていますし、シャンプーやトリートメントも種類が豊富です。

その薬剤などを用意しているのはプロフェッショナル用の商品を扱う会社ですが、元をたどっていくと多くは多国籍企業に行きつきます。

資本主義って怖いな~と思うのが、そういった美容院で扱うものに限らず、そういった多国籍企業が世の中に販売した商品で、私のようにアトピー・アレルギーで悩む人が多くいるということを考えたときです。人によっては便利でお洒落な気分にさせてくれる、素晴らしい商品なのかもしれませんが、私のように皮膚が弱い人にとってはメリットは無く害になってしまう。

そういったことも考えていくと薬剤などを使って仕事をする美容師で、経済活動は出来ないなと思いました。

もちろん、美容師の仕事による経済活動で、嬉しい・楽しい・幸せを感じるプラスの面もあるとは思いますが、私にとってのマイナス面が大きすぎて続けられなくなってしまいました。
自分がアトピー・アレルギーで苦しんだせいか、「これが良いですよ」と勧められない商品を扱って対価を得ることは心苦しくなってきてしまったのです。

美容が大好きなのでそこまで思い至った時は辛くもありましたが、また違った見方が出来る日が来るかもしれないので、経済活動としては続けられませんが身近な人や自分自身に役立てていきたいと思います。

美容の仕事の分業・専門化について

美容院で行われる美容技術の分業・専門化が進んでいますよね。例えば、1000円カットに代表されるカット専門店。

普通に生活していれば見かける機会も多いでしょうから、これはもうお馴染みでしょう。後は…

カラー専門店
縮毛矯正専門店
シャンプー専門店
ヘアセット・アップ専門店
エクステ専門店
まつげエクステ専門店

…等でしょうか。

美容院ですべて出来る技術ですが、特化することによって料金が抑えられたり、その分野のスペシャリストに施術してもらえたりと、メリットも多いように感じます。

だから、「専門店」が増えているのでしょう。

最近見かけたカラー専門店は、2000円台という破格の料金でした。ドライ(髪を乾かす)のはセルフで、シャンプーは機械、会計は自販機でチケット制になっていました。

薬の選定や塗布は美容師にやってもらえますから、「綺麗に髪を染める」という目的が達成されれば、シャンプーやスタイリングなどは必要ない、美容院での余計な会話も必要ないといった考えの人にとっては、価値の高い・利用しやすいお店でしょうね。

自分の価値観、髪質・施術履歴にあった美容院や専門店を選ばないと、失敗の原因にもなりえますから、この辺はよく考えて利用しましょう。

この分業化で思うことは、さすがに「パーマ専門店」というのは難しいということです。なぜなら、パーマをかける以前にそれに見合ったカットが無いと求める仕上がりにはならないからです。

予め、求めるスタイルに応じたカットがされていれば、後からパーマだけかけるということも可能でしょう。ただ、下手すると二度手間になってしまいますから、余程の理由がない限りそうはしないでしょうね。

でも、いつか出てくるかもしれませんから、その場合はどうなるか楽しみにしておきます。

美容に限らず、分業化・専門化が進むと工夫してそれなりの付加価値を付けない限り、価格は下がる傾向にありますから、「余計なサービスはいらない」「とにかく料金は安い方が良い」人にとっては便利で過ごしやすい世の中になってきていますね。

かなり抑えた価格の場合、分業にはなっても「専門」と言えるほどの知識をもとに技術・サービスの提供がなされるのか、が気になるところです。

低料金の場合、凝ったことは対象外でしょうし、髪に関して言えば施術履歴が複雑だったり普段のヘアケア・セルフカラーの有無などでも、いい結果が出ないこともありますから、どう利用するかは考えた方がいいでしょう。

その技術を提供する側の私からすると、カットだけ・カラーだけ・縮毛矯正だけ…といった専門化が進むと面白くないな、というのが正直な感想です。

ヘアスタイルから感じるその人の雰囲気や全体的な仕上がり・バランスは、カット・カラー・パーマ・スタイリングと色々な要素が絡んで作られるので、その一部だけを提供するというのがつまらないなと思います。

美容技術や仕上げの面白さは、それぞれの技術が関係しあってできるからこそだと考えているので、分業が進むのは機械的な作業をするのに近くなっていると感じており、美容の仕事でそれをするのは勿体ない気がします。一番面白いところが欠けているので、残念ながら私はそれを楽しめません。

その仕事をする側で考えると、一時的には効率的にこなすだけである程度は稼げるからいいかもしれないけれど、精神衛生上は長く続けるのは難しいだろうなと思います。

美容院の低料金化による影響

次に、私が働いていた頃にどんどん増えていった「価格の安い美容院」による影響を書いていきます。

スピード・生産性重視になるせいか、低料金の美容院だとアシスタントからスタイリストになる期間が短くなります。正直に言って、そこでスタイリストに育ったとしても、ある程度自分で勉強しないとほかの美容院で働くのは厳しいかな…とも思っていました。

低料金の美容院だとどうしてもスピード重視の効率的な働き方になるので、知っておくべき理論的なことを教わらないで育ってしまっていたり、中には技術的な面でこれは無いでしょ・・・っていう仕事をしていたり。

入客できる機会が多いので、実践経験をたくさん積めるのはメリットとしてありますが、その美容師にある程度の度胸と向上心が無ければそのメリットは生かせないでしょう。

考えようによっては、その技術で何とかなっているからそれでもいいのでしょうが、以前のようなシステムで育った人たちよりは技術力が低かったり、幅の狭いスタイルしか提供できないスタイリストに育ってしまうことも多いだろうなと思っていました。

もちろん、下積み期間はきついですから短い方が良いし、待遇面でも速くスタイリストになりたいと思うのは自然でしょう。それは仕方のないことだと思います。

…といっても、低料金の美容院はスタイリストの方がアシスタントよりも多い上に、ほとんどのスタイリストがスタイリストになってから美容院を移ってきていたので、さほど問題には感じませんでした。

低料金の美容院はあまり勉強会が無かったり、新しい技術に疎いパートさんが多かったりしますので、新しい技術・薬を使ったものはちょっと危ない場合もあります。

その頃は、多くの新しい技術・薬剤が出てきていましたが、美容師自体が使いこなせていないという面もありました。だから必要以上に髪を傷ませてしまったり、求めるスタイルに仕上がらなかったりするのでしょうね。

数年前のことなので、今は少し変わっているかもしれませんが、こういった事も踏まえて低料金の美容院を利用しましょう。

技術が上手いのになぜ安い美容院で働くのか

低料金の美容院にも上手い美容師さんはいます。ここからは、なぜ上手いのに低料金の店で働くのか、についてお話ししたいと思います。

まず考えられる理由の根本には、美容師の労働環境はとても悪いという事があるでしょう。そんな中で、低料金の美容院は比較的お給料が良い傾向がありますし、勉強会やミーティングが少ないです。

更に言うと、その美容院自体が多店舗展開であったり、大手の美容院のセカンドラインでやっていたりするので、社会保険完備だったりもします。

そして、最近増えているのはフリーランス(自由出勤制)の歩合制で働く方法もよく見かけます。

もちろん、自分を指名してくれるお客さんが多くいれば、その分自分に入ってくるお金も増えるでしょう。フリーランスの業務委託でやっている美容院は比較的低料金の美容院が多いです。つまり、自分の時間が持ちやすくなるし、美容院によっては給料もいい・・・。

ただ、せっかく苦労して身に付けた技術をこんなに安い料金でやりたくない、とも思うでしょう。料金が安いぶん、言い方は悪いかもしれませんが数をこなさないと稼げないという面もあります。

でも、やっぱり自分の時間も大事。お金ももっと欲しい。と思えば料金設定が低いお店でも働きますよね。逆に低料金になれば余計なサービスはしなくなりますから、シンプルでやりやすいという考え方もできます。

価値観の問題ですよね。

正直、その料金なりの仕事の仕方(1人で何人かお客さんを掛け持ちで仕事したり、場合によってはスピード勝負)にはなるでしょうけど、こればっかりはしょうがないと割り切るしかないでしょう。