昨日、ついに状態が悪くなっていた歯の治療をしてきた。行ってきたのは、以前歯科検診を受けに行った近所の歯科医院である。
今回は再根管治療である。料金は£555になるのだが、日本で受ける治療とはだいぶ違っていた。
正直に言って、日本で保険適用で受けられる根管治療では、不十分な治療になる可能性が高いだろうと思った。
因みに、根管治療とは以下。
歯の根の中の神経や血管など(あわせて歯髄と呼ばれます)が通っている管を根管と言います。 歯髄は根の先端から歯の中に入り、歯の成長発育に重要な役割を果たします。 しかし、成人になり歯が成長したあとは、歯髄がなくても根のまわりからの栄養供給によって歯は生存できます。
歯の根の治療である根管治療(歯内療法とも呼ばれます)は歯髄が炎症や感染を起こした時に必要になります。 原因は深い虫歯、歯の亀裂、外傷などです。炎症や感染をそのまま放置しておくと、 歯が痛んだり、根の周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたりします。 場合によってはリンパ節が腫れたり発熱したりと全身的にも影響が出ることもあります。 根管治療によって、これらの症状が軽減したり、治癒したり、予防できたりするのです。
根管治療では、痛んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、 再度の感染を防ぐために根の中に詰め物をします。このように歯髄を除去する治療法を抜髄と呼びます。 一方、以前に根管治療が終了している根が再び感染してしまった場合にも、根管治療が行われます。 この場合の治療法は、感染根管治療と呼ばれます。
日本歯内療法学会ホームページ「 根管治療(歯内療法)ってなんですか?」から引用
イギリスで受けた再根管治療
治療時間は約1時間、担当医とそのアシスタントが付きっきりでの治療であった。
やったことの流れを単純に言うと、麻酔をかけてから被せ物を削って外し、根管を清掃したのちにその内部を埋めて蓋をするという流れで、もちろん日本で受ける治療と同じである。
しかし、治療の質といった面でいうとだいぶ違った。
料金に見合っているという面もあるだろうが、イギリスで受けた治療の方が良質である。
ラバーダムと呼ばれるゴム膜を使用して唾液の混入( 口の中の細菌の侵入 )を防ぎ、根管の清掃は徹底的に…といった感じで、まず使用する器具や機器が充実している。
前回の検診で撮影したレントゲン写真と合わせて確認しつつ、細部まで注意深く治療しているのが良く分かった。
個人差もあり、根管は入り組んだ形状になっているからなのだろう。
日本で再根管治療を受ける場合、「既に神経は抜いてあるから、痛みは感じない歯の治療」であるせいか、麻酔を使用されたことはなかった。
今回の治療で、既に神経のない歯に対し麻酔をかけることに疑問を感じたのだが、これだけしっかりと治療するのであれば、それは必要なのだろうと納得した。
また、日本では一度の通院では十分に清掃しきれないせいか、根管治療に何度も通うことになる。
しかしイギリスで受けた治療では、歯の状態にもよるとは思うが、日本のように長期間にわたって何度も通院する必要は無い。
私の場合は一度の通院で念入りに治療し、その3か月後に経過を見ることになった。
日本のように何度も通う必要がない。
ラバーダムを装着したまま念入りに根管の清掃をするので、長い時間口を開けていることになり辛かったが、本来はこのくらい慎重に時間も手間もかけて行う治療なのであろう。
そう考えると、日本で受けた根管治療が全て再治療もしくは再々治療になったことにも頷ける。
日本よりも海外の歯科医の方が良いと乱暴な言い方はできないが、少なくとも、イギリスではこういった治療が標準なようである。
歯の根管治療に関しては、イギリスの方が安心して治療を受けられそうだ。
怖すぎる日本の根管治療
日本では根管治療も保険適用になるので安く治療が受けられるが、その分歯科医側の利益にならないのだろう。
そのせいか、本来であれば根管治療に治療に必要な器具や機器が揃えられない、治療に時間をかけられない、といった事情があるようだ。
しかし、そういった事情があるせいか成功率は低く、正確な資料は確認できないのだが軽くネットで調べてみると成功率は30~50%らしい。
専門制度が確立されている諸外国の場合、初めて根管治療を受ける歯の成功率は約80−90%、初回の根管治療が失敗し再治療の成功率が約70%と言われているそうだ。
日本で受ける根管治療が、「50~70%の確率で失敗」ってどうなのだろう。
北米で専門医が治療した根管治療の「成功率」
根管治療|ECJ より引用
根管治療(病巣なし)90%以上
根管治療(病巣あり)約80%
再根管治療 70~80%
再根管治療(病巣あり・根尖破壊あり)約50%
私は日本で再根管治療を何度か受けている。
子供の頃にアッサリと数本の歯の神経を抜かれ、大人になってから再治療に追われることとなり、事の深刻さに気が付いたのだ。
上記に引用した情報を見ても、根管治療は特に最初の処置がとても重要なようである。
最初の根管治療が失敗していれば、数年後にまた再根管治療…と繰り返し、そう何度も再治療できるものではないので結局は抜歯、となってしまう。
私の実体験と日本での根管治療の成功率から考えてみても、残念ながら日本で保険適用の根管治療を受けると、そのような流れになってしまうことが多いのではないだろうか。
根管治療なら日本ではなくイギリスで受けた方が良い
日本でも保険外診療の根管治療であれば、整った環境で時間をかけ、良質な治療が受けられるだろう。
自由診療になるので料金は保険適用よりもかなり高くつくけれど、歯の寿命を少しでも伸ばすためであれば、悪くない選択だと思う。
しかし、そういったことができる歯科医院はまだ多くないのではないだろうか。
私が通っている歯科医院は、ロンドンのような都会ではないイギリスの町の一般的な歯科医院ではあるが、こういった地域であっても上記の私が受けたような治療が標準なようだ。
一度この治療を受けた後で、日本の保険適用の根管治療を受ける勇気は、私にはない。
経験だけでは何とかならないから成功率が低い。治療に必要な機器・器具・薬などが揃えられない、治療に時間がかけられない。
こういった、日本の「そりゃ成功率低いだろう」と思わざるおえない状況を考えると、どう考えてもイギリスで治療してもらった方が安全だ。
だから、根管治療に限って言えば日本よりイギリスで治療を受けた方が良いと思う。
イギリスの歯の治療に関してネットで検索をすると、高額だが腕が悪いといった情報をよく目にするが、つくづくあてにならないと思う。
かといって日本よりイギリスの歯医者の方が良いなんて言うつもりはない。結局は国・地域など関係なく、その歯科医の良し悪しによる。
私の担当医は今のところは「当たり」だったというだけだ。
人気があるせいか予約は取りにくいが、外国で安心して歯の治療が受けられるなんてラッキーだと思う。
…高額だけど 笑