イギリスの歯科治療で、また痛い目をみた話

イギリスの歯科治療で、また痛い目をみた話

先月、4年半ぶりに日本に帰省した。いろいろとやることはあったが、その中でも重要度が高いことの一つが歯科治療である。

私はイギリスに移住後、無理なく家から通えて口コミの評価も悪くはない歯科医院に通っている。

以前このブログでも書いたが、パンデミック中に歯が痛くなったけれど予約が取れなかったり、治療した隣の歯が痛んでいるのに気が付かなかったりと、長期間痛みに耐えながら過ごした。イギリスに来てからたった4年半しか経ってないのに、歯の治療で痛い目を見てきた。

そしてまた、私にイギリスの洗礼が襲い掛かったのだった。

日本に帰国する1カ月半ほど前、コロナだったかも?と疑うくらい長引いた風邪の症状の後、治りかけの時に運悪く食中毒になり、それが回復してきたかな…と思ったところで歯の痛みが出てきた。免疫が弱っているときに神経を抜いた歯が痛みだすことはよくあるらしいが、4年ほど前にイギリスで再根管治療をした歯が痛みだしたので、とてつもなくショックを受けた。なぜなら、高額な治療費をかけたのに、たった4年でダメになってしまったからである。

いつも担当してくれている歯科医による今回の診断は、残念ながら抜歯するというものだった。

約650ポンド(約13万)で再々根管治療することも出来るけれど、たった4年しか持たなかったし、再々根管治療になるので成功する確率が低いということと、治療が難しい根管の形状をしているから、という理由で抜歯したほうが良いと言われたのだった。正直に言ってやりたくないと言われた 笑

担当医は根管治療を専門にしている人なので、その診断を受け入れるしかない。彼には出来ないのだから、高いお金を払ってやってもらいたいとも思えない。

何とかして日本で治療したかったので、痛みに耐えつつ、痛みを取る応急処置だけでもしてもらえないかと粘ったけれど、そういうのはやってないからとアッサリ断られ、他の歯科医院ならどうかと行ってみたけれど、こちらも抜歯か800ポンドで再々根管治療といった診断だった。800ポンドで高いし、しかも治療の予約が取れるのは2週間後だった。無理。

再々根管治療自体は650とか800ポンドだけれど、詰め物や被せ物のコストは含まれていないので、この歯を治療しようとすれば1000ポンドは越える。日本円に換算すると約20万はかかることになる。約20万かけて成功率の低い治療を受けても何年持つか分からないので、また数年後に同じかそれ以上の治療費がかかることを思うと頭が痛い。

しかも、痛いんだけど…と見せに行っただけで、抗生物質を処方され何にも処置をしていないのに、65ポンド、二回目は50ポンドと診察費がかかった。他の歯科医院で受けたセカンドオピニオンも初診ということで75ポンド。イギリスの歯科治療高すぎ 泣

歯が痛みだしてから3週間以上経って、悩みに悩んで、日本に行くまであと約4週間…やっぱりもう耐えられない。この状態で飛行機に乗ったら気圧の関係で激痛とかありうる?とか考えても、諦めるしかないと思った。

やれることはやったし、調べつくして悩んだ末、もう抜歯するしかない、と決断したのだった。

因みにこの期間で、日本で自由診療で短期間に治療を受けられる歯科医院を探して連絡を取り、予約時間は確保してもらっていた。現状を説明して、アドバイスをもらっていた。

日本だったら、残せる歯だったと思う。でも私が住んでいるのはイギリスで、治療費も高く、技術が信頼できる歯医者はまだ見つかっていない。何より、日本と違って痛いからと診察しに行っても、治療は当日にやってもらえない。診察の予約は早くても数日後、その治療は更に数日後…運が悪いと一週間以上後になることもある。

神経を抜いた歯は早かれ遅かれ、たぶんまたこうなる。歯が痛むたびにこの期間を耐えないといけないし、その上高額なのに技術は微妙なので、私は歯の保存ではなく「もうこんな思いはしたくない」という自分の気持ちを優先した。

そして遂に抜歯した。

なかなか出血が止まらなかったし、抜歯したのに歯茎の腫れも痛みもなかなか引かず、そんなに酷い炎症を起こしてた歯だったのかな…なんて思っていたら、実はとんでもないことが起こっていたのである。

やっと日本へ帰国し、予約していた歯科医院で診てもらい、他の気になっている歯を治療してもらっていたのだが、レントゲンを撮ってビックリ。何か、写ってはいけないものが映っている。

歯の根っこが映っている。何度見ても、どう見ても、抜歯したはずの歯の根っこがレントゲンに映っている。「これって…歯の根っこですよね?抜歯したはずなのに残ってますよね?」と唖然としながら日本の歯科医に聞いたのだった。

見ての通り、歯の根っこがそのまま残っておりました。

抜いた歯は歯の根が4本あったのだけれど、手前の2本の歯の根っこが残っていた。そりゃあまだ歯茎が腫れているし、痛むわけだ。いやいや…

ふ・ざ・け・る・な・よ?

あのくそ歯医者め。なかなか抜けずに時間がかかったし、歯茎も傷だらけだった。日本の歯医者さん曰く、「歯周病にもなっていない、ちゃんと残せる歯を抜こうとするんだから、それはなかなか抜けないよ」とのこと。力ずくで無理矢理抜こうとしたから、折れて根っこだけ残ってしまったらしい。

でもさ、抜いたら確認しないか?

根っこの数足りないよね?って、抜歯した歯を見れば分かるじゃん!あいつ、根っこが4つあるって知ってたし!!

そして日本の歯医者さんは、この根っこを残して利用できないかと頑張ってくれたけれど、前回この根っこの治療に使われた素材が、これから必要な治療をするのには相性が悪かったので、残せないということが分かった。結局、その根っこは抜歯してもらった。

日本の歯医者さんに診てもらい、この抜歯になった歯だけでなく他の歯も治療してもらったのだが、イギリスの歯医者の定期検診で問題ないとされていた歯が2本、問題大有りで直ぐに治療が必要な状態だった。どちらも2年くらい前から気になっていて、検診の時に大丈夫かと質問していたところだった。

しかも、そのうちの1本は、イギリスの担当医に根管治療をしてもらった歯である。根の先までちゃんと治療はされているが、上の方は治療が不完全で虫歯になっていた。いくら根の先までキッチリ!にこだわって治療しても、他の部分が治療で来てないんじゃ、意味ないじゃん!!!

…っていうかこの歯の状態、定期検診に行っている意味がないじゃん!!

もうこいつは信用できない。ヨーロッパのどこかからの移民の歯医者で、英語は聞き取りやすいし気さくで話しやすいから嫌いじゃなかったけれど、技術だけでなく恐らく経験も伴わない歯医者に私の歯は任せられない。

イギリスに帰ってきてから、日本で取ったレントゲン写真を添えて、通っている歯科医院にクレームのメールを送った。書面でクレームの提出と担当医との話し合いなどをしないと、クレームの対応はしないし返金などには応じられない、とのこと。抜歯は260ポンド(5万ちょい)で、他の治療に比べれば安いし、もう関わりたくなかったので、次回の予約をキャンセルしてクレームは面倒なので諦めることにした。

これでもう、このイギリスの歯科医院に行くのは止めることにした。高いお金を払って定期検診に行っても意味ないし、抜歯さえまともにできない歯医者だということが分かったから。この歯科医院ではこの歯医者だけ腕が悪いのかもしれないけれど、もうここには行きたくない。医院長さんもインプラントごり押しで嫌な感じだったし。

今回、日本の歯医者さんに診てもらって、日本に住んでいた時に他の歯医者で治療したところも、詰め物の中で虫歯が広がっていたりしたものがあったし、今までに日本でも歯科治療で痛い目を見たことはある。だから、日本の歯医者が良くてイギリスの歯医者が悪いとは一概には言えないのは分かっている。

でも、痛いときにすぐに見てもらえない、治療費が高すぎるという面で、イギリスの歯医者は嫌だ。治療費が高すぎるから、ダメもとでやってみるっていうのが気軽にできない。この歯がある限り、また痛んだら大変な思いをすると思うと、精神的に辛い。

大人になってから私がやっているのは、いつも歯の再治療。子供の頃に削って直した歯の再治療なので、いくら毎日一生懸命歯磨きとデンタルフロスを頑張っても、こういった再治療は防ぎきれないらしい。子育てに追われていくら疲れていても、どんな時でも欠かさず歯磨きとフロスはしていたのに、詰め物の中で虫歯が進行してしまうのだから防ぎようがない。

今回の経験で、数年に一度は日本に帰ってまとめて治療してもらおうかと考え中だ。

イギリスでもいい歯医者さん見つけたいけれど、もう怖い。たった4年半で大変な思いをしたから、もうイギリスの歯医者行きたくないけれど、歯の状態が良くないから定期検診には行っておきたい。

それに、娘が通うのに相応しい歯科医院を見つけなくては!