Hokageの話

Hokageの話

Hokage…ほかげ…火影、「NARUTO」に出てくるこの‘’火影‘’。

夫とこのアニメの話をしていた時、聞き慣れない単語がでてきて夫が何のことを話しているのか分からなかったことがある。なぜなら…

「ほかげ」ではなく「ホケェージ」と夫が言っていたから。

Hokage、あー確かに英語っぽく「ホケェージ」って読めるね、と納得してようやく話が噛み合った。日本人である私には、火影という漢字込みで理解しているので「ホケェージ」と読む発想は出てこない。日本語の聞き取りができない英語話者が、吹替ではなく字幕だけでこのアニメを見ていたら、こう読んでしまうのも仕方がないかもしれないが、全く別物になっていてウケた。

因みに火影以外の水影・雷影・土影・風影に関しても「~ケェージ」と読んでいて、言いにくくて語感もおかしいのだが、日本語の語感など知らない人にとっては違和感がないのだろう。全然読み方違うけど。

私の夫は日本のアニメが好きだ。日本語は勉強中だが、まだ聞き取りも話すこともほぼできないのでいつも字幕で観ている。

「NARUTO」や「ドラゴンボール」を観て日本のアニメが好きになったらしく、私が「HUNTER×HUNTER」を勧めてハマったあたりから、どうやらジャンプ系が好みのようだ。それからは「Dr.STONE」、「Black clover」、「マイヒーローアカデミア」…など、観ているのはジャンプ系が多い。因みに夫は【かめはめ波】がとても言いにくいらしい。

私はグロいのが苦手なので「進撃の巨人」は観るのを避けていたのだが、夫に便乗して観てみたらハマってしまったので、殆どのアニメを夫と一緒に観ている。(進撃の巨人のラストが読みたいけれど、こちらではまだアニメの途中でめっちゃ気になる。ネットでいくらでもネタバレを確認できるので、その誘惑に負けそうだ。HUNTER×HUNTERは私が生きているうちに最終回まで読めるといいな、と思っている。)

その中で、字幕付きで見ているとどうしても気になるのは、どのように英語に訳されているのか、ということだ。

確かにそういう意味合いなんだけれど何かちょっと違うんだよな…とか、英語になるとなんかニュアンスが違う気がするとか、これはこの漢字が使われているからシンプルに訳されているのが何かつかみ切れなくて勿体ないな…等と思ったりするし、コメディになると尚更笑いを共有するのが難しくなる。面白いセリフでも、翻訳すらされずに流されているものも少なくないし。

私も英語の勉強がてらイギリスのコメディドラマを観るが、やはりここで育っていないので流行りや文化的な違いを知らなかったり、笑いの感覚の違いがあるせいか、現地で生まれ育った夫と違って笑えるところが少ない。また、日本語で翻訳された字幕を見ると、なるほどと思うこともあれば、翻訳されるとやっぱりニュアンスが変わるな…等と翻訳の難しさを実感することは多い。

話は少しそれるが、英語のドラマや映画で下手くそな日本語を話す日本人役が出てきたり、漢字の使われ方がおかしかったりすると、一気に現実に引き戻されるような感じがして、自然にドラマや英語を楽しめなくなる。自分がよく知る文化や言語が不自然な表現をされていると、その不自然さにモヤモヤする。

言語習得は、こういった感覚も含めて身に付けるものなのだろう。

日本のアニメも、日本語が分かれば、日本の文化や歴史的な背景を知ればもっと楽しめると思うのだが、そこまでできる人は少ないだろうなとは思う。日本のアニメでは、名前にあてられている漢字がその人の個性や特性を表していることも多いし、言い回しや使われている漢字などで重々しい・軽々しいとか、畏まった感じ、古い感じなどの雰囲気が分かるともっと楽しめる。

相当アニメが好きで、どうしても日本語で理解したいというモチベーションが無ければ、英語話者が日本語を習得するのは機会も少ないし難しいだろう。でも、そのちょっとした違いや感覚が分かれば話も膨らむのになあ…と思ったりもする。私も英語をそこまで使いこなせるわけではないので、夫も私とは伝えきれない・共有できないことは少なくない。

お互いにお互いの言語が使えるようになると、どんな感じになるだろうかと考えてみるが、夫が私の拙い英語でも理解できるようになっているのを考えると、お互いが言語化しきれない何かを掴む能力は上がっているのかもしれない。「ホケェージ」の話題は難易度が高すぎたけど。

最近、夫は「斉木楠雄のΨ難」を観て【中二病】とはどういったものかを掴みかけているので、これでまた一歩、日本への理解が深まったようだ。ダークリユニオンのおかげだろう。

私も言い間違いや読み間違いをしている英語はたくさんあるのだろうな。笑ったら私が傷つくから、夫は黙っているだけかもしれない。聞き慣れない、想像もつかない言葉をキャッチするのは難しい。