2023.7 諸事情あり、仕方なくブログ名を変更しました
貯金が減っていくストレス

貯金が減っていくストレス

イギリスに移住してきてから働かずに主婦をやっているが、最近、同じ立場になってやっと母の気持ちが分かった気がする。これは子供に対する思いの話ではなく、日々家事と子育てを淡々と続ける生活で、働かずに夫だけの収入で生活するとこういう気持ちになる、という類の話だ。

夫婦双方が納得の上で夫は仕事、妻は家事・育児という生活なので何も後ろめたいことは無いし、夫も私が生活に必要な物やそれ以外のちょっとした趣味にお金を使うのには何も干渉しない。だから何も問題にはならないはずなのに、私には夫の稼いできたお金を使うことに後ろめたさがある。

だからこれは、私の心の中の問題なのだろう。

イギリスに移住してきてから、生活に必要というわけでもない趣味に使うものは、働いていない後ろめたさもあって、自分の貯金を使って購入してきた。そして妊娠・出産・育児と生活していく中で、生活に必要な自分の服も自分の貯金から払うようになってしまっていた。

妊娠・出産すれば体型は変わるし、産後の育児は今までの生活をガラッと変えるので、当然着る服も変わる。産前の服は、動きが制限される・授乳に適さない・洗濯や肌触りの面から素材が子育て向けじゃない・サイズが合わなくて着られないなどの理由で、着られなくなってしまった。その為、服は総入れ替えという感じで揃えないと着る服が無い状態だった。

買ったものはほぼ全て普段の生活で着ているし、古くなるまで着ているから無駄な買い物はしていない。それでも、産前は服に家計費を使うことは殆どなかったので、全てを家計費から出すことは私の心情的にできなかった。

産前のように好きに着物も洋服も着られず、汚れても洗濯OKで肌触りが良くて、耐久性のある服…となると選択は限られてくるので、この自分の状況に合わせた服をなるべく低価格で買うようにしていた。それでも、なるべく自分の好みに合う服を探して買っていたのだが、そもそも自分のライフスタイルには合っていても自分の好みの服じゃないので、いくら買い揃えても満足しなかったのだろう。いくら日常の服を買い揃えても「これじゃない」感があって、何か足りない気がしてしまう。また何か新しいものが欲しくなってしまう。

…といった生活を続け、気が付いたら自分の貯金が減っていた。

ここ一年の自分の趣味や服に対する出費を計算したら、家計費で払ってもいいものまで自分で買っていた為、家計費から私が生活に必要な物を買う金額より、自分で支払った金額は2倍以上だった。産後増えた服の出費への罪悪感のせいで、生活に必要なものまで家計から出すことができなくなり、自分の貯金は減る一方。

この、自分の貯金が減る一方で、働いて貯金が増える見込みがない状態が、精神的に辛い。

この生活を続けていたら、きっと直ぐに自分の貯金は無くなるだろう。何年持つだろうか。そう考えると、どうしようもないストレスにさらされる。

そこでふと、何で自分の貯金を削らないといけないんだろう、夫は子どもが産まれて趣味に使える時間が減っても、その趣味を維持するために毎月ある程度のお金が使えるのに、なぜ私は家計費から使えないのだろうと思ってしまった。今まで溜めたストレスから、多少金額が高くても思い切って自分の好きな物を家計費から出して買ってしまいたい、といった衝動に駆られるようになったのだ。

そこで、母のことを思い出した。

母が何をしたのかというと、子供が小さい頃に自分好みのダイヤモンドリングを2個(コーディネートして一緒に付けられるやつ)、父の給料から内緒で購入したそうだ。結構な額になったらしい 笑

そして、その若い人が普段付けているにはお高い指輪を付けたまま、家事育児をこなして精神を保っていたらしい。そのおかげで、指輪の片方は変形してしまった。

この話を聞いたとき、なんだそれ 笑…と思ったのに、今はその気持ちというか感覚がよく分かる。家族の家事・育児をしても、仕事として評価をされることは無いし、お金にもならない。頑張っているね、と言ってもらえることはあっても、やはり仕事とは違う。

仕事とは違う楽しみもあるし、子供が可愛い今の時期は特に、できる限り子育てをしたい気持ちはある。

でも、社会から切り離された感じや、どんなに頑張ってもお金にはならないから好きなことに使えるお金は少ないし、そもそも趣味に使える時間が少ない。1人で何かをすることが好きな私には、なかなか辛い生活だ。どんなに子供が可愛くても、自分のことも大切にしたい。

そう、自分のことも大切にしたいのだ。自分のことに使える時間やお金は、自分を大切にするためには必要なのだ。

それが、母にはダイヤの指輪を買う、という形で外に出た。私の場合はどうだろう。

先日、そろそろこのストレスも限界なので夫と話し合い、爆発して何かやらかす前に現状を変えることにした。私の要望は、少しで良いからお小遣いが欲しいということと、イギリスでも自分だけの銀行口座が欲しい、ということだ。

そうすれば家計費とは別で、自分のお小遣いからなら気兼ねなく買えるからだ。好きに使っていいとは言われていても、お金の流れは夫にすべて筒抜けで、これを買ったら無駄だと思われないかと気にしたり、何か言われる前に聞いておこうと買う前に買ってもいいかと聞いたりするのが地味にストレスだった。だから、日本の自分の銀行口座から、夫に気兼ねなく何かを買うことは私の精神安定になっていた。

実は、イギリスで自分の銀行口座を持つことは、以前夫に反対されて持つことができなかった。共同口座から全て支払うから、ここで働くわけでもないしイギリスで個人口座は必要ないでしょ、と言われて終了だった。確かにその通りだし、私が趣味にお金を使ってもいいと、夫は何を買っても無駄だとか文句を言ってくることはない。でも、そういう問題じゃないのだ。

私がどう感じているか、私がどうしたいのかをちゃんと聞いて欲しいのだ。

そのやり方で、結局は共同口座から支払えずストレスが溜まっているから何とかしたい、という話なのだ。あなたは大丈夫かもしれないけど、私は大丈夫じゃない。

少しくらい、自分の好きにお金を使いたい。夫にすべて知られていると、監視されているような気分になる今の状態を何とかしたい。しかも、私の貯金が減る一方で、それも精神衛生上良くない。これだけインフレが進む中でも共同口座からいくらかの貯金ができたのは、私が自分の生活にかかるお金を自分で出していたからなのだ。

ここまでは言わなかったが夫にも思うところはあったようで、私はやっと自分の銀行口座とお小遣いを手に入れた。発狂する前に相談して良かったと思う。夫と話したおかげで、何か高い買い物がしたいという衝動は失くなった。これで少しはストレスが減るだろうか。

私は自分で稼いだお金でないと、自分の為にお金を使うことができないらしい。子供のころからそうだった。姉や弟みたいにお金をかけてもらってやりたいこともあったのに、お金を私に使ってもらうことが申し訳なくて、我慢が身にしみついてしまっている。今回のストレスもそれと同じ感じだった。

この性質はなかなか変わらないだろうな。辛いから、自分で自分が使いたい分は稼ぐしかない。一生そうやって生きるのだろうか…それも辛いな。