まつげエクステに使われる接着剤の多くはシアノアクリレート系のものが使用されています。
このシアノアクリレート系の接着剤というのは接着速度が速いことから、「瞬間接着剤」と呼ばれているものです。
空気中の水分と反応して固まりますので、エクステを付けていく際にこの反応によって生じた揮発成分(ホルムアルデヒド)が刺激になって目に染みてしまうこともあります。(参考→グルー(接着剤)のホルムアルデヒドとアレルギー)
ちなみにこの「ホルムアルデヒド」とは、シアノアクリレートが水分に反応して固まる際に生じる気体で、目や鼻に刺激を与えることがあります。
シックハウス症候群の原因の一つとしても有名で、長時間吸引し続けると発がん性の恐れもあります。
また、グルーは「雑貨」扱いですのでまだ配合成分を表示する法的な義務がないため詳しい成分が不明であることが大半です。
目に入った時やアレルギー反応が出てしまったときの対応などができていないことが多いです。
その為、眼科との医療提携や施術者の目に対する知識の習得が課題にされているようです。
少数ですが、まつげエクステサロンによってはきちんと医療提携している眼科があったり、研修のを実施しているところもあります。
<グルー(シアノアクリレート)の種類>
・メトキシエチルシアノアクリレート、エトキシエチルシアノアクリレート
→無臭。持続性が低い。化粧品用・プラスチック・ゴム製品に使われる。
・ブチルシアノアクリレート、オクチルシアノアクリレート
→少し臭いがある。※医療用グレード。
柔軟性があり、持続性は普通。医療用として使われることが多い。医療用のグルーを使用していることを売りにしているサロンはこちらを使用しているようです。
・エチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート
→臭いが強い。硬化後は固くなり、持続性が高い。工業用、金属にも使われる。
まつげエクステ施術によく使われます。
持続性が高くなると、ホルムアルデヒドの拡散量が増えるため、刺激が強くなります。
逆に持続性が低いと、刺激は少なくなります。
また、持続力の違いは接着剤は水分と反応して硬化するのですが、分子の大きさの違いによって水分との反応のしやすさが変わるからです。(分子が小さい方が水分と反応がしやすく、持続性が高くなります)
※医療用グレードについて
「医療用グレード」とはいっても、「医療用」ではありません。
「医療用」は医療に使用するため、薬事法によって決められた基準で作られ認可されたものです。
まつげエクステで使用するグルーは、医療で使用するものではない為雑貨扱いとなり、医療用には該当しませんが、医療用に使われることが多いブチルシアノアクリレート・オクチルシアノアクリレートを使用する場合、「医療用グレード」と表現されます。
グルー(接着剤)と温度・湿度の関係
グルーは瞬間接着剤なので、温度・湿度などグルーを使用する環境の影響も受けてしまいます。
瞬間接着剤の接着の仕組みは…
→最初、主成分のシアノアクリレートはモノマーの状態
→接着するものに付着しているほんのわずかな水分によって、シアノアクリレートが瞬間的に重合を開始
→シアノアクリレートがポリマーとなって、一瞬で接着される
こんな感じです。
簡単に言うと、接着するものの水分に瞬間的に反応して硬化し、接着します。
グルーにとって最適な室内環境は、温度が25度前後、湿度は50前後です。
高温多湿だと硬化が速く、低温乾燥だと硬化が遅いため、季節や施術を受ける人の体温やまつげの状態によっても影響も受けるでしょう。
体温が高く、汗をかきやすい人はグルーの硬化も速く、エクステを装着する前にグルーが乾いてしまうため、外れやすく持ちが悪くなります。
反対に全体的に乾燥気味の人は、水分が少ない為グルーの硬化が遅いです。
その為、乾燥気味の人の場合、グルーが乾ききらずに隣に生えている毛と絡んでしまうこともあります。
冬より夏の方がエクステが取れやすい傾向があるのは、こういったグルーの性質の影響もあるのでしょう。
ほぼ産毛で取れやすいかな?と思っても、意外とエクステの持ちが良い人がいるのも、温度・湿度の影響からかもしれません。