既製品の服にはない、着物の色彩は美しい

既製品の服にはない、着物の色彩は美しい

最近、着物を着ていて気が付いたことがある。

それは、着物がもつ色の豊富さである。美しい色彩。

洋服を着て育ち、着る服はほぼすべて既製品で色の展開も少なく、ユニクロのように豊富な色をそろえていても見慣れた色。そんな中で生きていたことに、着物を着るようになってから気が付いた。

中古の着物を着ているので今現在の着物のことは詳しく知らないが、着物も素材がポリエステルで柄がプリントされた既製品は、今の技術で染色・プリントされているからか色が鮮やかで、着物だけれど洋服のように見慣れた色だ。既製品の洋服を見慣れているのであれば、違和感は感じないだろう。色が鮮やかすぎて、ハッキリしているのが今の服、今の着物だと思う。

最初は多くの着物の色が見慣れず、中古だし色がくすんでしまっているのかと思っていたが、見れば見るほど着物の色は美しく、今まで来ていた洋服と何が違うのかモヤモヤしていた。

そんな中、寒くなってきたな…と、外を歩く人たちの服装に気を取られていた時、ふと気が付いた。

洋服を着て外を歩く人たちは、私が着ている着物のような色彩は持っていないのだ。

今まで着ていた洋服のような、既製品としてはよく使われない色、既製品とは微妙に異なった明度・彩度・色合いが着物に使われているから、そこに多少の違和感を感じる。見慣れていないから違和感を感じ、日常で着物を着ると目に留まる。目に留まるのは、着物を着る人は少なく、違う形のものを着ているからというのが大きな理由だとは思うが、よく使われる既製品の色とは微妙に異なった、周りにいる多くの人たちは身に付けていない色が着物にはあるから、というのも理由としてはあると思う。

最近ようやく着物の色に見慣れ、ちょっとした色の違いや面白い色の組み合わせに急に気が付くようになり、ますます着物が美しいと思うようになった。また、微妙な色彩の違いで意外な組み合わせが馴染んだり、合いそうだと思った組み合わせが馴染まなかったりして面白いので、それも楽しめる。

既製品の服が普通だったから気が付かなかったが、今を生きる私たちは既製品のよくある色に囲まれ、もっと豊富にあり楽しめるはずの色彩から、遠く離れてしまったのではないだろうか。

よく使っている既製品の半幅帯は使い勝手がよく、色も綺麗で気に入ってはいるが私の「見慣れた色」でできている。着物や帯は作られた時期を合わせてコーディネートするとよく馴染むが、合うか合わないかのちょっとした違和感は、こういった微妙な色彩の違いも影響しているのではないだろうかと思う。

これに気が付いてから、既製品の色があまり美しく感じなくなってしまい、既製品の洋服は面白くないから着物が着たいな、と思うようになった。着物にハマった人たちが抜け出せなくなるのは、こういった発見もあるからだろうか。

着物は興味深く、美しい。

日本の着物文化は素晴らしい。もっと早くに気が付いていれば、日本で思う存分学んで楽しめたのにと、残念でならない。

…でも、日本に住んでいたらもっと着物が欲しい!と、たくさん買っていただろう。コロナの影響があるこのご時世、考え無しに散財はできない。着物がなかなか手に入らない環境にいるのは、良かったのか悪かったのか…何とも言えないな。