先日、夫の両親から連絡があり、ご両親と夫の姉家族と私たち夫婦でキプロス島へ行かないかとお誘いがあった。現地で2週間、Vila(別荘)を借りて家族で過ごそう、ということであった。
せっかくの機会なので行くことにしたのだが、日程を話し合い予約も済ませたところで、ふと考えた。
それは、「日本の家族とはこういった旅行をしたことがない」ということだ。
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日本で働いていたら、親と兄弟の家族そろってバカンスへ行くとか…無理
考えてみれば、こういった旅行は「出来ない」というのが前提だったので、やろうとしたこともなかった。
私には姉と弟がいるのだが、どちらも結婚して家庭をもっているので、もし家族全員で旅行に行くとなれば、両親、姉家族、私たち夫婦、弟夫婦が参加することになる。
私たち夫婦以外は日本で生活しているので、全員で日程を合わせて2週間の休暇を取るのは相当難しいだろう。
日本で雇われて働いていると、バカンスの為にまとまった休暇を取るのが難しいことは、10年以上日本で働いていた私にもよく分かっている。
そのせいで、海外旅行に行くにも長期で休暇を取れないせいか、日本から遠い地域へ行くのを断念していた。
家族で旅行へ行くとなると、それぞれ違った業界で働いていることもあり、休暇を取りやすい時期というのも異なるため、日程を合わせて休暇を取るのは困難だろう。
時期の指定も難しければ、2週間の休みを取ることも難しい。
それがよく分かっているから、「やろうとしない」どころか「考えさえしなかった」のだろう。
イギリスで働く人たちにとって、Holidayは重要
イギリスで暮らす人たちはキッチリと休暇を取り、休む時はしっかり休み、休暇を楽しむという環境や考え方が浸透している。
もう、休暇のために生きているのではないかと思うほど、休暇の取り方には職場の人同士でちゃんと話し合い、取るタイミングを調整し合っている。
この期間は誰々が休暇と取ると言っていたから、その時期は外してこの辺りで取ろう、といったことが常に行われている。
また、年間で定められた休暇日数をちゃんと消化するように、雇用主がしっかりチェックしているので、夫もいつ取るのかと聞かれていたくらいだ。
彼らにとって、バカンスはかなり重要なことのようである。
日本で生活していると、ここまでバカンス重視の考え方をもって生活はできないだろう。
…であるからと言って、ただ「イギリス最高!」と言いたいわけではない。
Holidayを取るか、生活の利便性を取るか
もちろん、日本のそういった「休みが取りにくい」職場環境や考え方は辛い。
キッチリしすぎてて息苦しさを感じることもあるし、ここまでやらなくてもいいのに…と思うこともたくさんあるだろう。
しかしそれによって、日本で生活すると基本的には安定した、いいサービスが受けられるという面は少なからずあると思う。
働く側は辛いけれど、そういった環境で働いて生活し合っているからこそ、日本では便利に・快適に生活できることも多い。
イギリスでは日本ほどスピーディーな対応は受けられないことが多いので、働く人たちの仕事のテキトーさに驚くことがあるし、たまに笑ってしまう。
「担当者が休暇中だから」となれば、「じゃあしょうがないね」となる。
こちらが切羽詰まっている場合は、「しょうがなくないわ!」と言ってしまいたくもなるが、そうやってお互いに許し合ってるからこそ、長期休暇も協力しつつ気兼ねなくとれるのだろう。
日本であれば、「担当者が休暇中だから」と言った理由は通用しない場合が多いのではないだろうか。
また、休暇を取ろうとすれば、周りからの厳しい目にさらされるかもしれない。
どちらの働き方・考え方にも良い面・悪い面があり、どちらがいいと考えるかは個人の考え方次第だ。
必要以上の便利さ・快適さは無くてもいいが、バカンスはないと嫌だ
イギリスへ来て分かったことがある。
それは、日本ほどキッチリしてなくても問題なく生きていける、ということである。
私も時々、日本の素晴らしさを思い出して比べてしまうことはあるが、必要以上の便利さ・快適さだったなと思うこともある。
その便利さ・快適さがなくなって、この環境になれてくると、そんなに不便は感じずに生きていけるのだ。
日本の働き方・考え方の場合、「お客様は神様です」の言葉に象徴されるように、サービスを受ける側にとっては快適だ。
しかし、そのせいで生きづらいし息苦しいことに多くの人が気づいていながら、変わらない。…というより、変えられないのかもしれない。
日本での働き方や考え方がもう少し余裕のあるものに変わるには、まだ時間がかかるだろうと思ったからこそ、日本から出てみたいと行動してきた。
もともと私は旅行が好きだし、長いこと美容関係の仕事で技術・サービスを提供してきたから思うのだが、必要以上の便利さ・快適さは無くてもいいが、バカンスはないと嫌だ。
だから、私の場合はイギリスで生きていく方が、働き方や生活面では自分の価値観に合った生活が出来そうだと思う。
正直に言うと、自分の親や兄弟家族とは旅行に行ったことがないのに、夫の家族とは簡単に行けてしまうことに、ちょっと複雑な気持ちはあるが、せっかくなので楽しんで来ようと思う。