元美容師 イギリス移住後のヘアカット

元美容師 イギリス移住後のヘアカット

イギリスへ移住してから、美容師の頃に身に付けた技術を生かして夫のヘアカットをしている。

コロナウイルスの影響で髪を切りに行けない期間が長い中、家族に美容師がいると楽でいいよなとつくづく思う。自分の首を外して、自分の髪も自分で切れたらいいのに…。

夫のヘアカット

夫は自分のヘアスタイルに対してこだわりは無く短ければオッケーな人なので、私好みに好きに切らしてもらっている。面倒なので刈り上げる部分はバリカンを使用しているが、これは美容師として働いていた頃から変わっていない。機械を使った方が正確だし早い、こういった便利なものを使わないのは勿体ないといった考えだ。

さて、夫のヘアカットをするときにまず思ったのが、「綺麗な頭の形をしているなあ…」ということだった。

日本人にはハチが張っていたり、後頭部が絶壁になっている頭の形をしている人が多いので、それに合うようなカットの仕方をしていた。全体のバランスを見て、高くなる位置はこの辺で刈り上げはここまで、といった何となくの感覚が身についていたと思う。

しかし、夫の頭の形に対して日本人で慣れた感覚でカットすると、ちょっとバランスが悪い。

美容師の仕事から離れて数年経っているので、技術も感覚も鈍っているせいもあるかもしれないが、何か違うんだよな…と思っていたので、長さや高さを微調整し、どの位置・長さにするとカッコよく見えるか、というのを自分なりに研究した。

最近は長さや高さのバランスが掴めてきたのだが、私にできるのは日本の美容院でのメンズカットで、どことなく日本人っぽいヘアカットになる。イギリスで生活していると、ヘアカットの違いというのも気にはなっていて、イギリスのbarber(理容院・床屋)で見かける写真や、そこでカットしたであろうヘアスタイルを見ていると、ちょっと挑戦したくなる。

夫の家族や友人と会った時にも、彼らのヘアスタイルを見ては、この切り方は私はしないな/このバランスはアリなのか…とか、このカットにいくら払っているのだろうか…とか、そういったことが気になってしまう。

国が違くともカットの基本は同じだけれど、骨格の違いによるバランスのとり方や、髪質の違いからして美容技術の使い方は変わるのだろうな、と思うと知りたくなってくる。

もう二度と美容師の仕事はしないだろうなと思ってはいるが、夫や自分の子供へのヘアカットはやるだろうし、機会があれば身近な誰かのヘアカットもさせてもらいたい。骨格や髪質の違いはいい勉強になるし、楽しいだろうから。

自分のヘアカット

そして、自分のヘアカットについてはどうか。

日本にいた時からそうだったが、カットについて知ってしまっているので、どう切られるかが気になってしまい、下手にヘアカットをされることに耐えられない 笑

どこかのヘアサロンに行くとしても、私にとってはかなりの勇気が要る。これは日本でもイギリスでも変わりはないが、骨格や髪質の違いと技術力を考えると、正直に言ってイギリスの方が怖い。

義母と義姉は同じ美容師にカットしてもらっているようで、スタイルは気に入っているし上手だと思っているようだが、カットのしかたと見た感じが私の好みではないので紹介は遠慮しておいた。イギリスの美容師に切ってもらえば、イギリスっぽさが出るかもしれないけれど、好みじゃなさそうだし…。

自分で切るよりもマシだろうかと考えたが、自分で切ったなら少しくらい失敗しても諦めがつくし、お金もかからずコロナの感染リスクもない。自分の首を外して自分で切りたいわ…と思いつつ、結局自分で切ったのだった。

手持ちのシザーは美容師の頃から愛用していたもので、普通のシザーと10%と30%のセニング。しっかりブロッキングして、顔周りにはレイヤーを入れ、後頭部のトップにも軽くレイヤーを入れる。セニングを使えば、毛量調節も問題なくできる。

ボブスタイルは無理だけれど、ショートかロングであればセルフカットはできるな(昔はショートでレザーを使って自分で切ってた 笑)…というのが私の感想だ。顔周りがきまればそれなりに見えるし、慣れればたぶんもっとうまく切れるようになるので、セルフカットの技術を上げていく方向になりそうだ。

ここでふと、海外在住の日本人女性で、センター分けの前髪なし・もしくは前髪ありでワンレンの黒髪ロングになっている人が多いのは、自分で切っているからなのではないかと思った。美容院にはいかず、美容の技術無しで自分で切るとしたら、前髪を作る・作らないの違いはあってもワンレンの黒髪ロングになる確率は高いだろう。

海外ならなおさら自分に合う美容院・美容師探しは大変だし、地毛の黒髪を活かしたくなったり、失敗のリスクやかかる金額などを考えるとセルフカットになるのも分かる気がする。