イギリスには肥満の人が多すぎる

イギリスには肥満の人が多すぎる

平日の朝、いつも通り夫とBBC news を見ていたときのこと。
夫が何かに気がついた素振りをして、こう言った。「イギリスには、太ってる人ばかりだ」

私からすれば、え?今更それ言う?といった感じではあるが、夫にとってはちょっとした発見だったらしい。確かにその時のニュースでインタビューを受けていた人、その周りにいる人はほとんどが肥満だった。
夫の母と義兄は、日本にいたら絶対に浮くレベルの明らかな肥満で、夫の父と姉はぽっちゃりを通り越して肥満に近づいている感じなのに、気が付かなかったのかい?といった意地悪なことは、本人には言わない。

イギリスには、肥満の人がそこら中に溢れている。

街を歩けば、肥満で歩けないから電動モビリティスクーターを利用している人とすれ違うし、日によっては何人も見かける。電動モビリティスクーターは、政府からの補助で手軽に手に入れられるらしい。肥満なら尚更、負担のない程度に自分で動いた方がいいのではないかと思うけど、何が正しいかは人それぞれなのだろう。健康のために食べたいものを我慢とか、適度な運動とかやりたくないのだろうし、食生活を含む習慣を変えるのは負担も増えてストレスになる。

スーパーマーケットへ行けば、そこにも肥満の人々。大量の炭酸飲料や冷凍食品、日本のスーパーでは見かけない巨大なポテトチップスの袋、くっそ甘いお菓子の数々は見ているだけで胸焼けしそうだったけど、それも見慣れてしまった。

そして夫の家族と集まれば、半分くらいの人が肥満。可愛い姪っ子は、3歳にして既に両親の体型に近づきつつある。

私もイギリスへ来てから太った。
外食すれば日本より1人前の量が多いし、メニュー自体が高カロリーなので、イギリスでは何も考えずに過ごしていたらどんどん太る。意識して食べるものには気をつけていたけれど、夫と食事を共にするとなると少しは彼にも合わせる必要がある。
そしてイギリスのお菓子は、基本的にくっそ甘い。私にとっては甘すぎて美味しくないものも多かったのに、少しずつ夫に合わせて食べるうちにその甘さに慣れてしまった。夫と楽しく食事をするために私も少しの変化は受け入れたが、この体型の変化は憎い。
こうやってここに馴染んでいくということは、自分が生活する社会へ適応していっているのだとも言えるけど、体型は戻したい。

そしてイギリスは服のサイズも日本より大きい。
こっちのMサイズが日本のLサイズ、もしくはそれより大きいし、サイズ展開もプラスサイズと言って超大きい服も多く存在する。Mサイズが昔より大きくなってるというのも聞いたことがあるし、この社会にとってのMediumが大きくなってきたのなら、Mサイズ自体が大きくなるのは当然なのかもしれない。

また、イギリスへ来てからスカートを履いている人をあまり見なくなった。こちらの女性は基本的にズボンまたはレギンス、暖かい日はショートパンツで過ごす人が多い。そして堂々と履くレギンスの姿がパンパンの人が少なくない。肥満でも構わず薄手のレギンスを履くので、この光景も最初は見慣れず、日本との違いを感じた。

今の時代、見た目のことを言うのは良くないといった風潮があるのはよく分かっているし、私もそう思う。体型を気にして堂々と過ごせないのは生き辛いし、好きな服を着ればいい。でも、肥満で不健康な食生活を含む生活習慣には目を向けずに、そういった主張には私はならないなぁと思う。

これだけイギリスに肥満が多いのは個人の責任ではなく、社会の何らかの構造にも多くの問題があるのだろう。

手に入る食べ物の量や値段、含まれる砂糖の量、共働きやシングルの親であまり料理をしない・料理をする余裕もない生活、手軽に安く手に入る冷凍食品、色んな国の美味しい料理が食べられる環境、ポテトメインの食文化…などなど。安くて用意が楽で美味しいものは炭水化物メインのものが多いから、太りやすいものばかり食べる生活になってしまう人が多いのではないだろうか。

お昼のサンドイッチには、ペットボトルの飲み物とポテトチップスがセットになっているのをよく見かける。子供のランチタイムにもポテトチップスを持たせる家庭は多いらしい。ポテトチップスは程々にしておかないと依存性もあるし、それお昼じゃなくておやつだよね?と思うので、娘にはそれを普通にしたくはない。

イギリスへ来てから、イギリスの社会もいろいろな問題を抱えていて、何かもうどうしようもなくない?もう手遅れじゃない?と感じることもある。因みに、これは日本にいたときも感じてたから、アメリカやヨーロッパの国ならどこで暮らしても、私はそう感じてしまうのかもしれない。先進国はきっと同じような地獄を生きてる。

少し前にイギリスのニュースで見た、3人の子供を育てるシングルマザーのインタビューが印象的だった。

自分の仕事に誇りを持ってフルタイムで働いているのに、給料日前になると仕事に行くためのガソリン代を実母に借りないと生活できない程、困窮している。社会福祉の助けを求めたら、今のフルタイムの仕事をやめて他のパートタイムの仕事につき補助金をもらうことを勧められた。私はこの仕事が好きで誇りを持って働いているし、フルタイムで働きたいのに、他のパートタイムの仕事に切り替えて補助金を申請しろって、おかしくない?
…とのことだった。

その女性の仕事はたしか公務員で、社会に必要な仕事をフルタイムでやっているのに生活できない。他のパートタイムの仕事に変えて収入を減らし、補助金を得て暮らすというのは、フルタイムの仕事ができないシングルの親には、ありがたい制度なのだろう。でも、フルタイムの仕事だとそういった補助が受けられないとなると、フルタイムて働くやる気も無くすし、先述の女性のような生き方とかできないよね…とも思う。

イギリスが抱える、ボートでフランスから海を渡ってくる移民(難民)の問題も、なんかおかしいよね?と思ってる人は少なくない。
リスクをとってボートで海を渡り、イギリスに来れれば無料で住む家も手に入るし、働かなくても生活できる。だから下手したら死ぬかもしれないのに、子供まで連れて無理してボートで海を渡ってくる。運悪く亡くなる人も少なくないから、いつかはこんな挑戦をしようと思わない制度に変わるだろう。

イギリスのビザについて夫の家族と話しているとき、この話題が挙がった。なぜなら、イギリス人である夫の配偶者である私は、高額なビザ申請料金を払っているのに、ボートで海を渡ってくる移民たちはお金も払わず、イギリスで生まれ育った若者でもなかなか買えなくなってしまった家までもらえるのだから、おかしいよね?と。

さて、肥満の話からだいぶ逸れてしまった。

移民・難民に関してはイギリスの過去の歴史のせいもあるので、難しい問題だろうとは思う。でも、イギリスで暮らす人たちにも余裕が全くなくなってきたら、移民・難民の前に私達の生活も何とかしてよ、となるのは当然だと思う。
急激なインフレで生活も困窮してくれば、ますます太りやすくて手軽に食べられるもので食事を済ますようになるけど、食べるものが減れば強制的にダイエットにはなるかもしれない。笑えないけど。

食生活だけでなく、生き方や仕事、社会保障などいろんな問題が肥満の多さに関わっているのだろう。肥満の人が減るのは、食べるのに困るようになったから、という理由にはなってほしくはないなぁと思う。