ここではヘアカットや前髪、カットと縮毛矯正がかけてある髪などについて解説していきます。
ヘアカットについて
かなり簡単にカットの説明をすると、基本的にはベースとなる形を切り、その後髪の量を調整していきます。 量を調整するというのはのは、もちろん「すく」こと。
では、ベースとなる形を切るとは何でしょうか?それは、アウトラインを切って(長さを設定して)段を入れる(入れないこともありますが)ことです。
これを踏まえて、「重めのスタイル」と「軽めのスタイル」の違いを簡単にまとめてみます。
軽め | 重め | |
段は? | 入れる | あまり入れない |
量は? | 程よく減らす | あまり減らさない |
良い所 | 乾かすのが楽 動きが出しやすい | 毛先がハネにくい まとまり易い |
悪い所 | 毛先がハネ易い パサつきやすい | 動きが出しにくい 乾きにくい |
…こんな感じになります。
お客さんが希望するヘアスタイルの長さ、形、量とお客さんの好み・ライフスタイル等に合わせて、段はどのくらい入れるか、どのくらい量を減らすかを考えます。
結局は美容師の腕・センスによって同じ長さの設定にしても、仕上がりが変わってきます。高くなるポイントをどこにもってくるか、ボリュームをどこでだすか・どこで減らすか…同じ言い方で伝えても、仕上がりが微妙に違かったりしますので面白いです。
ちなみに、クセの強い髪の人は段を入れるとボリュームが出過ぎて広がり易くなります。段を入れた場合はかなり毛量を減らさないと、手におえなくて大変なことになるかもしれないので、特にショートの方はご注意ください。
くせ毛の人(強いクセがある人)は、あまり段を入れない方が基本的にはまとまり易くなります。クセの強い髪の方はそれをよく分かっている方も多いですね。
私はあるお客さんで、今まで腰まであるロングヘアだったところを一気にショートにしたら、くせ毛が目立ってビックリ!!なんてこともありました。髪が長くて重みがあったから、クセがあまり出ていなかったんですね。髪を短くするとクセはとても分かりやすくなります。
縮毛矯正がかけてある髪
よくある要望なのですが、縮毛矯正をかけてある髪なのに、カットだけで毛先が内に入るようにして欲しい・・・というのは理論的に無理です。
毛先が内に入りやすくなるようなスタイルにカットすることは可能ですが、縮毛矯正がかかっている髪は、縮毛矯正の薬と技術によって髪内部の結合を変え、髪を真っ直ぐにしていますよね。
ちょっと考えてみていただきたいのですが…、真っ直ぐなもの(縮毛矯正がかかっている髪)をただ切っただけでどこか曲がりますか?
例えば、髪ではなく「ただの紙」などで考えてみてください。切っただけで曲がりますか?
それと同じです。
髪をカットしただけで曲げられる・・・残念ですがそのような理論はありませんので、縮毛矯正かけた髪をカットだけで内に入るようにすることは出来ないです。もしそれが可能なら、パーマの技術は生まれなかったでしょう。
毛先が内に入り易いスタイルにカットすることは可能ですが、縮毛矯正がかかっている髪をカットだけで毛先が内に入る様にすることは出来ません。こんなこと言うのもちょっと複雑ですが、最終的にはスタイリングです。
ブローで(ブラシだけでなく、アイロンやコテなどを使って)毛先を内に入れていただくか、毛先にパーマ(縮毛矯正後でもかけられるデジタルパーマかエアウェーブなど)をかけるか…が一番確実な解決法だと思います。
「ブロー・スタイリングについて」の髪の乾かし方も参考にしてください。
前髪について
前髪って重要ですよね。
髪の長さとか、ストレートなのかウェーブなのか、重さはどうか、というのも大切だとは思うけれど、顔周りが整っていないと魅力的には見えにくい。私は、その人が魅力的に見えるには、その人に似合った額縁(顔周り)を作る必要があると考えています。その額縁を作るのに必要なのが、前髪。
また、前髪を工夫するだけで、イメージもかなり変わりますよね。
前髪を作るか作らないかでも印象は大きく変わります。前髪があると可愛く・幼く(若く)見え、前髪を作らなかったり長めの前髪を横に流すようなスタイルは大人っぽく(老けて)見えます。
私の場合は前髪が右方向に流れるような生え癖があります。放っておくと自分の好みではない位置でパッカリと分かれてしまったり、湿気のある時などはうねって残念な感じになるので、髪を乾かす時にハンドブローでクセをとって整えたり、湿気のある日は念入りに手入れをしています。
そして悲しいことに、この髪の生え癖は縮毛矯正では直りません 。
私が美容師として働いている頃は、前髪の生え癖が嫌だから前髪だけ縮毛矯正をかけたいという女子中高生がたくさんいました。
今の癖が少しは良くなるかもしれないけど、縮毛矯正では髪の生え癖は直らないことを説明しても、それでも縮毛矯正したいという人が多かったので、それだけ悩んでいる人が多いのでしょう。
この前髪の生え癖をどうにかするとしたら、髪を乾かす時に一工夫しましょう。ブロー・スタイリングで説明したように前髪を乾かす時は地肌を軽くこするようにしながら、左右に振って乾かします。左右からドライヤーの風を当て、髪のクセを取りながら乾かすことが大切です。
なぜ縮毛矯正では生え癖は直らないのかというと、髪の生えている根元から約1センチあけた所からでないと、縮毛矯正はかけられないからです。
約180度の高温アイロンを使用し、髪の形状を真っ直ぐに固定させるための形を作りますから、根元に近い位置にアイロンをかけると火傷してしまいます。また、縮毛矯正の薬は髪だけでなく皮膚に対しても刺激が強いものなので、生え際から髪が切れてしまったり頭皮がかぶれてしまったら大変です。
それでも縮毛矯正をかければいくらかは癖が弱くなるのですが、少し伸びてくるとまた気になり始めます。生え際に癖があると、結局毛先までクセの影響を受けるので、少し伸びてきただけでストレートに保つことが難しくなってしまうからです。
繰り返し矯正し続けている人もいましたが、根本的な解決にはならないので前髪の生え癖の為に矯正をかけのは、個人的にはお勧めしません。
前髪で作るイメージの違い
ここからは、前髪によってどう見え方が変わるかを説明していきます。
まず、前髪の幅の違いについてです。前髪の幅が狭いと重く見え、幅を広くすればするほど軽く見えます。
また、前髪の幅を広くとるほど顎のラインが強調されるので、エラが張っている方や丸顔の方はあまり幅を広くとらない方が気にならないです。逆に、顎のラインに自信のある方は出してしまった方が綺麗なラインが際立ちます。
次に前髪で目をどう出すかによって、印象がどう変わるかです。
片目を隠すと大人っぽく・クールな印象になり、逆に目を出すスタイルほど可愛い感じになります。また、M字の前髪は目が離れている方に合います。逆に目が寄っている方は余計に寄っているように見えてしまうのであまり向いていません。
これ以外に、額の広さによっても似合う・似合わないがあります。額の狭い方は前髪がある方が似合う事が多いですね。
いつも同じような髪の長さで、バッサリは切りたくないけどイメージ変えたい方は、前髪だけでも変えてみる事をお勧めします。
自分のなりたいイメージ・自分に似合う前髪にしましょう。
私が美容師をしていた頃は、重ために切られていて目の上ギリギリの長さで毛先だけ流す前髪を希望される方が多かったです。
この場合、そういう形に切っても結局は自分でアイロンやコテを使って毛先を内に入れてから、流すようにスタイリングしないとその形に固定は出来ないので、普通に前髪下して乾かしただけだと残念ながら目に入って邪魔になってしまいます。
可愛くしたい場合はやっぱり前髪もスタイリングが必要ですね。
前髪含めてバッチリスタイリングしてある女性は素敵に見えますよ。