8月の上旬、無事に胞状奇胎の経過観察が終了した。
胞状奇胎の体験談や経過観察中のことは日本での情報しか目にしなかったので、最低でも半年は経過観察されることを想定していた。しかし、子宮内容物除去手術を受けてから3カ月も経たないうちに終了…早い!
イギリスで胞状奇胎になった場合の経過観察
フォローアップは専門の機関に委ねられる
イギリスで胞状奇胎になった場合、子宮内容物除去手術後のフォローアップはイギリス国内に3か所ある胞状奇胎専門の機関に委ねられている。因みに、私はロンドンにあるCharing Cross Hospitalでのフォローアップだった。直接この病院に行くことはなく、送られてくる検査キットと結果を聞くための電話でのやり取りとなる。
Charing Cross Hospitalから自宅に送られてくる検査キットを近所のGPなどに持参して採血をしてもらい、当日朝に自宅で採取した尿検査と記入済みの質問書と共に、検査キットをCharing Cross Hospitalへ送ってもらう形になる。
採取した血液は遠心機にかける必要がある為、検査キットには血液をここに送れと医療従事者に対する指示が書いた説明書も入っており、それを渡して対応してもらうことになる。…が、担当してくれたGPの看護師が説明書を読んでも理解できず、私が説明しても理解できず、遂には封をしてしまったため、遠心機にかけることなく血液はそのままCharing Cross Hospitalに送られることになってしまった。
申し訳ない気持ちでCharing Cross Hospitalへ連絡したところ、十分な血液があればこちらで遠心機にかけるから大丈夫と対応してもらえたので良かったが、2度目の検査でも別の看護師が説明書の内容を理解できず、私は途方に暮れた。もう説明は諦めて、そのまま送ってもらったのである。Charing Cross Hospitalの人達、たぶんこういうミスには慣れているだろうから大丈夫、と言い聞かせて。…2回目も大丈夫だった 笑
そして検査結果は、採血をした日の3日後を目安にCharing Cross Hospitalへ電話して聞くことになる。通常、NHSでの電話対応はストレスが多いのだが、Charing Cross Hospitalの電話対応はとても親切で夫が感動していた。
hcgの基準値
経過観察は、血液検査と尿検査でhcgの変化をみていくことになる。
イギリスでは、子宮内容物除去手術の後2週間ごとに血液検査と尿検査を受け、hcgが血液検査で5 IU/L未満・尿検査で25 IU/L未満になるかどうかが、長期の経過観察が必要かどうかの基準となっている。まずは血液検査・尿検査のどちらの数値も基準値未満を目指すこととなる。
全胞状奇胎の場合、手術後56日以内でhcgが上記の基準値未満になった場合、その後1度尿検査を受け、その結果が基準値未満を維持していれば経過観察は終了になる。手術後56日以内にhcgが基準値未満にならなかった場合は長期の経過観察が案内され、この場合はhcgが基準値未満になってから6か月の経過観察(この間は毎月の尿検査)となる。
部分胞状奇胎の場合、一度hcgが基準値未満になったらその4週間後に尿検査をし、それで問題が無ければ経過観察は終了である。
全胞状奇胎と部分胞状奇胎でフォローアップが異なるのは、全胞状奇胎の方が経過が悪く化学療法などが必要になるリスクが高い(イギリスでは全胞状奇胎は15%、部分胞状奇胎は1%の人が追加の治療が必要になる)からなのだろう。
私は全胞状奇胎だったのだが、手術後48日でのhcgは血液検査が5 IU/L・尿検査が10 IU/L、手術後59日でのhcgは血液検査が4 IU/L・尿検査は4 IU/L未満だった。これで手術後56日以内にhcgが基準値未満になったと判断され、その後の尿検査も問題が無く、経過観察が終了したのである。血液検査の数値がギリギリだと思ったけれど、特に何も言われなかったので気にしないことにする。
子宮内容物除去手術の後、2週間ごとに血液検査と尿検査で経過観察となっているが、検査結果が出て全胞状奇胎だとドクターに告げられたのが手術後4週6日(34日)経ってから。その数日後、Charing Cross Hospitalから検査キットが自宅に届き、GPで血液採取の予約が取れたのがそこから10日後だったため、初めての検査が既に手術後6週6日(48日)だった。
NHSで手術やフォローアップの何もかもが無料だったのはありがたいけれど、手術も検査も迅速には受けられないのは怖い。手術後1週間で地元の病院でhcgの血液検査を受け、大きな問題はないと分かっていたが、それでも期間空きすぎて不安にはなる。問題が無かったから良かったものの、hcgが上がっていたらと考えると、この遅れは怖すぎる。
次の妊娠では早めのスキャンが受けられる
そんなNHSだけれど、次に妊娠した場合のフォローアップが用意されている。
また胞状奇胎になってしまう確率は、イギリスでは1/100となっている。胞状奇胎の経験がない人に比べると次の妊娠で胞状奇胎になるリスクは上がるので、妊娠が判明したら7~8週でスキャン(エコー検査)を受けることができる(病院で渡された胞状奇胎の説明プリントからの情報)。検査結果が胞状奇胎だったと告げられた時、そのドクターの説明では次の妊娠では6週でスキャンと案内されたので、どれが正解かは分からないが、どうせすぐには予約が取れないだろうし7週ごろだと覚えておけばいいだろう 笑
イギリスでは通常、最初のスキャンは妊娠12週ごろとなるので、このフォローアップはありがたい。
手術後3か月経たずに経過観察が終了して
胞状奇胎だと確定したとき、暫くは妊活できないし、体の不調が続いて精神的にも参っていたので、もう2人目は諦めるしかないだろうと思っていた。しかし、全胞状奇胎になったにも関わらず、3か月経たないうちに妊活の制限がなくなり、今はすごく健康で元気いっぱいである。
胞状奇胎になり体調不良が続き、手術を受けて体にダメージが加わり、その影響で歯も痛みだし急遽日本に帰って治療を受けるという大変な数か月を送ったが、歯の治療も終わって体の調子が良くなったことが、精神にもいい影響を及ぼしている。元気すぎて何でもできちゃう気がする。
3か月で経過観察が終えられたのは、ものすごくラッキーなことだと思っている。日本だったらもっと長い期間妊活ができなかっただろう。胞状奇胎になった影響と今後のリスクは考慮した生活は続けたほうが良いけれど、一応はケリがついた。思っていたよりもずっと早く。
ここまで来てやっと、胞状奇胎という理不尽この上ない、そして残酷な異常妊娠に対して悔しさと怒りがふつふつと湧いてくる。この私にこんな大変な思いをさせやがって…という、どこにもぶつけることができない怒り。
これは初めに望んだ良い結果が得られない限り、収まらない。だから、また2人目の妊活に挑戦する。もうすぐ41歳だけど 笑
胞状奇胎になって、流産はマシだと思える経験をしたせいか、流産は怖くなくなってしまった。もっと悪いことが起こりうるのを知ってしまったので、流産で済んでよかったと思えてしまうだろう。
また胞状奇胎になって今度は深刻な状態にまで発展する、死産する、お腹の子に遺伝子疾患などが見つかる…など、未知の領域にいくかもしれないけれど、これは考えても仕方ない。経験しないと分からないというのは、流産だと思ったら胞状奇胎だったという今回の経験で思い知った。
確率が…とか、もう気にしない。確率が高かろうと低かろうと、自分の身に起こるか・起こらないかだけで、妊娠・出産にまつわる不幸は、殆どのことは自分にコントロールできない。結果をただ受け入れて、自分にできることをするだけだ。
次の妊活でまた痛い目を見るか、次の妊活は上手く行くか分からないけれど、いい結果か、もう次は望めないと思うほどの悪い結果が出るまで続けるつもりだ。流産さえしない、妊娠にかすりもしないという可能性もあるけれど、とりあえず1年は取り組もうと思う。
怒りが収まらないので、とてもではないがまだ2人目は諦められそうもない。もうすぐ41歳だけど 笑