昨日の報道で、東京都は理美容事業者に対し、いくらかの給付金を出すことが決まった。
令和2年4月30日(木曜日)から同年5月6日(水曜日)までの間、自主的に休業を実施した東京都内に事業所がある理容業や美容業を営む中小企業及び個人事業主に対し、15万円(2店舗以上有する事業者は30万円)が給付される、とのことだ。
美容業は理容業と違い顔そりが業務に含まれていない為、休業要請の対象外となっていたようだが、この給付はどちらの業種も受けられるとのことで、それは良かったと思う。(4/30追記 理容は休業要請対象になっていたと思っていたら、どちらも対象外だったとは…知らなかった。)
しかし、それにしても対応が遅い。遅すぎる。
そもそも、美容の仕事はお客さんに接する仕事であり感染のリスクは高いはずなのに、休業要請の対象になっていないのがおかしい。美容師免許取得のためには国家試験を受ける必要があるが、その際にも衛生面は徹底的にチェックされ合否に関わるほどに厳しい。美容業と言っても、まずは「衛生的である」ことが前提であると教育されたし、美容師法でもそのように定められていると思っていた。
コロナウイルスは感染力の強い感染症なのだから、公衆衛生の視点でみれば美容業は休業にするべきだろう。
しかし、美容業は休業要請の対象外。
経済活動を止めない為に美容業界の利権から圧力がかかったか、政府がどうしても補償をしたくないがために休業要請をしなかったかは分からないが、感染症対策よりも経済活動を優先させたことは明確だろう。まともな対応だとは思えない。
正直に言って、理美容の休業要請をするかどうか、理容は休業の要請出すけれど美容はOKとか話し合っている時点で、頭がおかしいと思っていた。狂ってる。議論すべきはそこではないだろう。
「自粛」の「要請」ってのもおかしいし、もうツッコみ切れないわ。
東京は日本の中で感染者数も多いし陽性率も高く危険な状態だから、せめてゴールデンウィーク中は休業してほしいな…15万(30万)出すからよろしくね、といった感じなのだろうか。
給付は確かにありがたいのだろうが、どう考えても少ないだろうと思う。しかも、お金のある東京にしかできない対応なのだろう。
殆どの美容事業者は今、大変な思いをしているはず。
学校の休校要請が出たりマスク不足が始まっていた2月から、恐らく客足は遠のいていただろうし、何よりも前年に消費税が10%に増税されていたのでその影響も少なからずあったはずだ。
飲食業やライブハウスなどの業種が悲鳴を上げているというニュースをよく見かけるが、美容業もきっと大変だろう。店舗で運営されているので当たり前だが賃貸料がかかるし、美容院の設備も安くはなく借金を抱えて運営している人だっているはずで、スタッフがいれば人件費もかかる。利益率は低い仕事であるせいもあって、ブラックな業界である。
既に諦めて廃業している美容事業者もいるだろうし、既に失業してしまった美容業の従事者も少なくないのではないだろうか。
ブラックな業界ゆえに、下手すると雇用保険にも入っておらず失業手当も受けられない人がいるかもしれない。その上、美容業界で働く人は社会保障などに詳しくない人が比較的多いことを考えても、何の保障も受けられず、一気に貧困に陥ってしまう人もいるだろうと私は考えている。
恐らく、緊急事態宣言は延長されるだろう。
このまま自粛の要請が続けられれば、美容業界からも相当な廃業と失業が出てしまう。多くの美容院は個人店だったり、中小規模で潤沢な蓄えはないだろうし、自転車操業の事業者もいるだろう。もう、長くは持たないだろうと思う。
日本で十数年美容業で働いてきたし、つい数か月前まではフリーランスのまつげエクステ施術者として働いていたので、想像はつく。困っている人は相当数いるはずだ。
補償はしません、でも自粛してくださいというお願いほど残酷なものはない。収入が途絶えても助けませんって、耐えられなければ死ねということか?
日本政府、彼らに早く経済的な補償をしてくれ。東京都の15万(30万)給付だけでは全く足りない。
直ぐにでも補償してもらいたいものだが、少なくとも緊急事態宣言の延長が決まったらそれと同時に、国民が生活に困らないレベルの補償をしてもらいたい。たった一人10万の給付を決めるだけで、あんなに時間がかかったことが信じられないくらい、世界では長期的な視点でしかもスピード感のある補償がされていることが多い。
日本政府にもそれをする力があるのに、いつまでやらないつもりだ。
利権に関わる人たちが助かればいいといったような政策が目立つが、パンデミック相手にいつまで自粛させるつもりだ。もうどの業種とか関係なしに、苦しんでいる人は多くいるはず。
美容業だけに関わらず、自粛を要請するのであれば補償もしてくれ。
ただ、美容業に従事する人は、今後の働き方を真剣に考えた方が良い。コロナウイルスが落ち着くまでには、数年単位で時間がかかると言われているからだ。
ワクチンや治療薬がいつできるか分からないし、最悪いつになってもできない可能性もある。まだ有効な治療薬もワクチンもない感染症も存在し、コロナウイルスだってインフルエンザと同じように毎年発生するような存在になるかもしれず、コロナとともに生きていかなければならないかもしれない。
今まで通りには働けないと考えた方が良いと思う。(先日これについてブログで書いた→コロナ後の美容師・アイリストの働き方はどう変化していくだろうか)
日本政府の恐ろしい対応が続けば、自分が生き延びるためにどうすべきか、と考える必要が出てくるだろう。私なら需要のあるスーパーマーケットでバイトするか、潔く実家に帰って食つないでいただろうと思う。
ただでさえ美容業で生計立てるのは大変なのに、そこに増税とコロナ。これは辛いはず。もう、生き延びることにフォーカスしよう。