コロナ後の美容師・アイリストの働き方はどう変化していくだろうか

これから、コロナウイルスのような感染症がある世界で、美容師やアイリストはどのように働いていくのだろうか。

日本の場合は5月6日に緊急事態宣言が解除されて、直ぐに戻れるかもしれないとか、とにかく早く元の生活に戻りたいといった声をよく聞くが、たぶんそれは無理だろう。落ち着くまでには時間がかかるし、もう前のように働くのは難しいと思う。

一旦は落ち着いたとしても第二波、第三波…と続くと考えられているので、行動規制と解除が数年は繰り返されるだろうと言われている。そんな中で直ぐに前のように働けるはずがないと思うのだが、どうだろうか。

コロナウイルスのワクチンができたとしても、また新しい感染症が流行ることもあるだろう。現に、MARSとかSARS、新型インフルエンザの流行など21世紀になってから数種類の感染症が流行している。運よく今のコロナウイルスのように世界へ急速に感染は拡大しなかったが、未だにワクチンも治療薬もない感染症は存在しているのだから、コロナウイルスが落ち着いてきたからと言って、前のように生活しようとはならないだろう。また直ぐに、新しいウイルスの脅威にさらされる可能性だってあるのだから。

これだけ感染が拡大していて犠牲者も多く出ており、経済的な打撃も大きいことを考えれば、これからは感染症の危険にさらされている事を前提にした働き方や暮らし方にシフトしていかなければおかしいだろう。

そう考えると、美容師やアイリストはどう働いていくことになるだろうか。

既に一部の美容師やアイリストは、持ち前の美容技術や知識を生かしてYouTubeなどを利用して情報発信したり、今までとは違う方法で仕事をしているが、そこまで多くの美容師やアイリストができる事でもないだろう。

まつげエクステを含め美容施術は、認可された美容所で行わなければならないことは、美容師法で決まっている。

当たり前だがリモートワークはできない仕事だし、美容所以外での施術も出来ない仕事なので、今まで通りの働き方を維持するとなると換気や消毒の徹底、マスクの着用は必須の状態で仕事をすることになるだろう。かなり徹底した感染対策が必要になる。

現状では、衛生面のことも考え美容師法で認定された美容所のみでの施術と決まっており、施術するには美容師免許がいる事や、その美容所で仕事をする美容師の人数によっては管理美容師という資格も必要になる。免許や資格が必要な仕事で、美容の利権もしっかり絡んでいるわけだ。

いっそのこと、もうこの古い法律もこの機に変えてしまえばいいと思う。

日本式に言えば「3蜜」を避けるためにも、一か所に集まって施術しなければいい。そうすれば余計な接触の機会は減らせるのだから。

感染症と上手く付き合い必要な感染症対策をしつつ、美容施術を提供することを念頭に置いて、新しい法律を作ればいい。…こんなことを考えてみるが、利権が絡むことなのでそう簡単には行かないだろうなとも思う。

数年前に流行りだしたまつげエクステ施術は、美容業界が必死になって利益を得るために美容師免許所持者のみ美容所での施術が可能とした。その為、美容師免許を持たないアイリストの施術、美容所登録が済んでいないサロンでの施術が不可能になった。確かに当時はまつげエクステによるトラブルも少なくはなく、何らかのルールは必要だったかもしれないが、美容師免許を持っていなくても安全な施術を施し上手だった施術者もいたはずなのに、である。

結局、利権や今まで通りの搾取システムを守る為なら、利権に携わる人たちは何でもやるんだなと気づかせてくれた。彼らが簡単にルールを変えられるとも思えない。彼らの手にかかれば、むしろ現実に即さない面倒でアホなルールが増えてしまいそうだ。本気でそう思う。

そもそも人との接触を控えた生き方となれば、美容師やアイリストの仕事は、今のように多くの人に必要とされる仕事ではなくなる可能性だってある。

家の中で、モニター越しにそれなりに見えればいいわけで、そういった生活に合わせた美容に変化していくかもしれない。自分が家でできることの中で美容を楽しむ方向になれば、美容師やアイリストの需要だって減っていかざるおえない。

生きていくのに絶対必要なものではないから、今まで通りにやろうとしても事業を継続していけるだろうかと考えた時、廃業や離職を選択する人は少なくないのではないかと思う。

そう考えると、残念ながら美容師やアイリストの未来は明るくないかもしれない。

しかし、そんな美容業界に10年以上携わった私としては、そういった傾向も悪くないのではないかと思う。

美容業界の搾取のからくりとか、日本人の西洋人へのコンプレックスとか、美容施術や美容用品などの化学物質によるアトピーとか、見た目を気にして世間の言う綺麗・カワイイ・若く見えるに固執して精神を病んでいる人が少なくないこととか、そういったことを考えると、美容に対する価値観の変化はもっと健康的で自分らしい方向に変わっていくかもしれない。

上記の問題から目を背けることができずに、美容師の仕事を続けられなかった、まつげエクステの接着剤アレルギーの悪化でアイリストを続けられなくなった、その中で美しいとは何かを考えずに美容の仕事をすることができなかった私からすれば、感染症によって強制的に今までの美容師やアイリストの仕事が変化していくことは、悪くないと感じる。

人によって美容への考え方や、何を美しいとするか、どういった価値観を持ち生きていくかは異なるが、その時期・その時代で「綺麗・カワイイ」とされるものは変わっていく。

美容の仕事を続けつつ、自分の生きる社会をもっと知るために美容以外の知識を得ようと学び続け、私はある時、自分が働く業界でこれまで良いとされてきたものが、良いとは全く思えなくなった。場合によっては精神的・肉体的に良くないこともあると、気が付いてしまったからだ。

そのせいか、ここ数年はずっと自分が心からいいと思える美容との関わり方を考え続けてきた。コロナウイルスの影響で健康面も経済的な面も不安は尽きないが、美容の仕事といった面では恐らく、私の価値観にあう方向へ変わっていくだろうと思う。それによって幸せを感じる人が増えればいい。

今まで通りの働き方、価値観を維持したい人にとっては辛い時期かもしれない。

今まで通りに働けないのであれば、その変わった環境の中で自分がこれから何をしたいか、どう働いていくかを、家に籠っている間に考えるのもいいと思う。

美容師やアイリストの仕事を続けて生活することに限界を感じるのであれば、今まで通りには働けないと割り切って、これからリモートワークできる仕事や感染症の危険にさらされた生活でも必要とされる仕事に挑戦すればいい。現実を見据えた「撤退」も悪い手ではないと思う。

こんな環境でも美容の仕事がどうしてもしたい、どんな形でも美容に関わる仕事がしたいというのであれば、考えてとにかく動いてみよう。

何が正解かは分からない。「上手くいくなら、やる」なんて考えでは、絶対に行動まで行かない。パンデミックで先の見えない現状で、正解は誰にも分からないのだから。

私は一時的に収入がなくなっても、美容について考えたり、自分を実験台にいろいろ試してみたり、新しいことを身に付けてみようと練習したり、更なる知識を得るために学んだりということは続けていくつもりだ。

美容が好きで、美容とともに生き、美容業に携わる仲間が一人でも多く、このコロナウイルスの影響を自分にとってプラスに変えていけますように。

日本の美容師、アイリスト、みんな頑張れ。